477 / 506
行きたい所へ行く!それが冒険。多分
第477話:しゅっぱぁ……早っ!
しおりを挟むレイが珍しく肩掛け鞄など持っているな、と思ったら、鞄の中身がライダーズだった。
横並びに六匹の属性オコジョが入る鞄などよく見つけたな。
鞄に手をチョコンと掛け、顔だけ出している。
あ、綺羅印だった。納得。
ジルドは頭や肩や服の中など、至るところに属性オコジョが居る。
好き勝手させているみたいだな。
んん?ネームプレートが妙にキラキラしているのは、咲樹の属性オコジョだよな?
えぇと、なぜユズコや咲樹の子がジルドに登っているのでしょうか?
ジルドのオコジョは二匹しか居なかった。
ユズコは解る。白虎の背中にしがみつくのは、属性オコジョには無理だろう。
咲樹は自分で面倒みろよ。
俺の視線に気付いたのか、咲樹が寄って来た。
「言っとくけど、このビィがジルドの所にいるのは、杏子と夫婦だからなのよ」
「妻の所に居るのか」
「いや、杏子が旦那でビィが妻だ」
ジルドに訂正された。
まぁ、うん。しょうがないよな。
属性オコジョの性別ってよく判らないし。
「は~い、じゃあ出発しますね~。ヴィンはガルムに乗ってね~」
オーべが引率の先生のように皆に声を掛ける。
いやいや。同じハーフリングで生産職の斗苫斗的が歩くのに、一応戦闘職の俺がガルムの上っておかしいだろう!?
レベルも俺の方が確実に上だからな。
……レイに有無を言わさず乗せられた。
「しょうがないっしょ~。ヴィンが目印じゃん」
ミロがガルムの横に並んで歩く。
「目印?」
問い掛けた俺の視線を誘導するように、ミロがあちこちを指差す。
列を離れて駆け出すユズコとリルとシズカ。
同じく列を離れて、違う方向へ行くムンド。頭の上にはピリリとルチル。横に並んで飛んでいるハナサン。
出発した途端にこれか……。
「オレ等も、勝手に狩りに行って良いけど、戻って来る時はヴィンを目印にしろって言われたし」
ミロにサムズアップされた。
本人無視で、目印にされていた。
「う~わ!マジか!」
突然、横を歩いていたミロが叫んだ。
ミロのパーティーメンバーがビクリと震える。
ミロの声に驚いたのかと思ったが、どうやら違ったようだ。
「レベルアップ音、2回……」
呆然と呟いているのは、【spinnengewebe(シュピネンゲヴェーベ)】のリーダーである吸血鬼のアラクネである。
職種はレイと同じ暗黒騎士だが、種族の違いか性別の違いか、大分雰囲気が違う。
元の性格のせいかもしれん。
なかなかに豪快な感じの女性だ。
名前にアラクネと付けるだけあり、首に蜘蛛の巣の柄がある。
タトゥーになるのだろうか?
「ぎゃあぁぁぁ!うるさぁい!」
いや、お前が煩いぞ、リコンス。
リイドとシアラも顔を顰めてるからリコンスが煩いせいだと思ったが、違ったらしい。
シアラが「レベルアップ音って、こんなに続けて鳴る事があるのね」と呟いていた。
おや?悪友達も一様に驚いた顔をしているな。
斗苫斗的と紫蘭、爺さんは反応せず。
これは、同盟を組んだ面子のレベルが軒並み上がったようだ。
何を狩った?
どっちのチームだ?
確認した方が良いのだろうが、確認するのが怖い。
あぁ、嫌だなぁ。
また死蔵品が増える予感。
応援ありがとうございます!
123
お気に入りに追加
1,000
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる