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価値・無価値は、人によって違うものなのだと再確認した

第462話:凄過ぎて、ちょっと感動

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あるじ!何かペチペチされる!>
 突然ムンドから念話が入った。
「ペチペチ?」
<並んでるヤツラだよ!ペチペチ触ってくる!ウザい!>
 あ~。入場待ちの列がムンドの体に沿って伸びてるのか。
 目の前にムンドの体があったら触るな。
 多分、俺が同じ立場でも触る。

「ゴメン。入場待ちの列は予想外で、何も対策してなかった。咲樹に結界か何か張ってもらうか?」
 ムンドは寝ている間は動かないと言うので、イベント中は寝てても良いと言ってあったのだが……寝られないようだ。
<主、残念だが結界を張ってしまったら、搬入の者が通れなくなるぞ>
 ガルムに言われてしまった。確かに。

 並んでいるだけの人達を弾く結界なら、搬入の人達も弾くよな。
 多分ムンドに触る人達に悪意は無い。
 むしろ好意かもしれない。


「列をムンドから離そうか。手を伸ばしても触れない距離に」
 大した人数じゃないだろうし、ムンドに沿わせずに街の方へ延ばすか。
 イベント開始まで後8時間位か?
 暇な人も居るのだな~と、呑気に会場の外に出た俺は、目の前の光景に呆然とした。

 列の最後、どこ?
 え?何人並んでるの?
 開場時間、間違って告知してないよな?


ヴィン:ちょっ!誰か!会場前に列が、列が出来てる!
レ イ:列くらい出来るでしょうね
オーべ:え?今更何言ってんの~?
ヴィン:いやいや。列の最後が見えない程の長い列だぞ!?
ジルド:あぁ。ヴィンが動揺してるのは、伝わってきた
ヴィン:そういうの要らないからな!


 なぜ誰も驚かない!?
 その事に、俺が驚いたよ。


ユズコ:今から行くよ!会場入口だよな!
ヴィン:ユズコ!お前だけだ、心の友よ
咲 樹:え~!?ズルイ!私も行くからね
ヴィン:来るなら早く来てくれ!


 結局、オーべ以外の四人が入口付近に来てくれた。
「あら、予想より多いかしら?」
 咲樹が列を見て、頬に手を当て首を傾げる。胸を寄せるその腕は必要か?
 こんな時なのに、メロンに目が行く男の性質サガよ!
「オコジョ人気なのか、ヴィンの従魔目当てか……」
 ジルドが目をすがめる。

「この列目当てに屋台が出てるな!」
 ユズコの言う通り、列を囲うように何個か屋台が出ていた。
 街の外なのに大丈夫なのだろうか。
 安全対策……は、ムンドが居れば魔獣モンスターも近付いて来ないか。
 面識の無い屋台ばかりだな。


「ムンドから列を離せば良いのね。ちょっとしてくるわ」
 咲樹が近付くと、列から数人の男が走り出て来た。
 咲樹から話を聞いて、頷く男達。
 その男達が列に声を掛け、更に数人列から出て来て……それを繰り返し、結構な人数になった男達は、列を誘導してムンドから離した。
 凄えな、プロだよ。

「こういうのは、咲樹のファンが得意だよな!」
 ユズコの言葉に、素直に頷いた。
 さすが女王様!


 イベント開場時間は申請している通りにしか出来ないので、とりあえず列の事はこれ以上どうしようもない。
 正直、属性オコジョ人気、舐めてました。
 でも販売と違って、早く来れば手に入るものでも無いのだがなぁ。


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