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価値・無価値は、人によって違うものなのだと再確認した

第442話:頑張ったから、褒めて!

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 今日も満席、満員御礼の【ペットカフェ】。
 席数と客の数の割に店員に余裕があるのは、メインが料理ではなくペットだからだろうか。
 でも、現実リアルのペットカフェよりも、遥かに料理を注文している人が多い印象だ。
 ここの料理はバラエティに富んでいるし、本当に美味しいからな。

「ぃやあぁぁぁ!可愛い!!」
「え?何?何がどうしたの?何で?」
「しゃ、写真!スクショOKだったよね?」
 店内がにわかに騒がしくなった。
 ペット達が店内を自由に動き回る事があるが、ここまで騒がしくなった事は……お前達のせいか。

「どうしました?1号、2号、V3、X、アマゾン、ストロンガー」
 レイのところの属性オコジョ達だ。
 皆が皆、両手に果物を持っているので、移動しやすい四つ足ではなく、不安定な二足歩行である。
 だから余計に可愛く見えて、店内が阿鼻叫喚状態なのか。
 え?阿鼻叫喚の使い方を間違っている?
 俺の中では、この光景は阿鼻叫喚だから、別に良いのだ。

 アマゾンが、手に持っていた林檎を差し出してくる。
 オッサンだ。
 しかもただのオッサンではない。
 今まで見た事も無いくらいの、凄い笑顔のオッサンだ。


<水を撒いた効果が出てきたようでございますね>
 オーベの肩の上から、アマゾンの持つ林檎を見ながらハナサンが嬉しそうに言う。
 規格外なうちの従魔達やクランのペット達が遊んだリヴァイアサンの池の水を、ハナサンが魔物果物の木に撒いていたようだ。

 家庭菜園の野菜がリルの魔力水で美味しくなるように、魔物果物も美味しさ倍増したのだろう。
 俺の胸元で寛いでいたヨミが、モダモダとうごめいてい出して来た。
 急いで出ようとして、焦り過ぎてかえって出られなかったのだな。

<きゅきゅ!>
 ヨミの視線はアマゾンの手にあるオッサン林檎、もとい魔物林檎。
 あ~ヨミちゃん、魔物果物大好きだよね~。
 俺としては、ヨミがオッサンを齧る姿は見たくないのだが、美味しい物を我慢させるのもなぁ。
 海外から見たら、俺が酢蛸を食ってるのも不気味で見たくないだろうし、それと同じ事……だよな?多分。


「あ!食べ物の持ち込み禁止だから、駄目だぞヨミ」
 そうだった!ここは【ペットカフェ】だからな!
「ペットのご飯でしょう?良いわよぉ」
 ……クイーンからお許しが出ました。
 果物は身と皮の間が1番栄養価が高いのだよな?確か。
 いや、美味しいのだったか?
 どっちでも良いか。
 とにかく、皮を剥いて食べさせるのも難しいって事だ。

「はい、どうぞ」
 色々考えている間に、レイがアマゾンから林檎を受け取り、ヨミに渡してしまう。
<きゅ!>
 ヨミにお礼を言われたレイは上機嫌だ。


 レイの属性オコジョ達は、美味しい果実を収穫したから、飼い主であるレイに見せに来たのだろう。
 普段なら収穫した果物は、家庭菜園にあるマジックボックスへと仕舞う。
 態々わざわざ見せには来ない。
 褒めて欲しいのだろうなぁ。

「自分達で食べないでレイに持ってくるなんて~、健気で可愛いね~」
 レイに魔物果物を渡していく属性オコジョ達を見て、オーベが笑う。
<ワタクシは、主様あるじさまの為に、誠心誠意、心を込めて、水を撒いておりました>
 ハナサンが心なしかションモリしてるか?

「ハナサンは良い子だね~」
 自分の肩の上のハナサンの頭を撫でながら、顔を寄せるオーベ。
 嬉しそうなハナサン。多分。
 テラやムンドの表情は読み取れるけど、ハナサンやピリリはいまいち自信が無い。
 やっぱり、自分のうちの子はちょっと特別だよな。


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