ほんわりゲームしてます I

価値・無価値は、人によって違うものなのだと再確認した

第440話：ありがとう！必要だった……よな？

　部屋に湿気が増え、折り畳み傘が必須の季節。
　洗濯物は脱水したら、コインランドリーで乾燥だけするので問題無いのだが、床がペタペタするのが嫌だな。
　ほぼ毎日、床拭きシートで除菌している気がする。
　ヘッドギアのようなゲーム機は、専用の拭き取り洗剤と消臭剤を買った。
「これ、絶対に必要だそ！」と現実リアル咲樹が買って来てくれたのだ。
　ゲーム内とは違って、キッチリと代金を払った。

「オコジョ。全部揃ったけど、まだフリーのがいる」
　洗剤を届けに来たついでに、なぜか一緒に夕飯を食っている。
　いや、これが外に食べに行くとかなら別に良いのだが、なぜ冷凍室のストックを一緒に？

「現実リアルでも偶たまには食べたいじゃん？」
　レンチンした鳥ご飯を食べながら、現実リアル咲樹が笑う。
　既に２個目のそれは、今度はゆかりが混ぜられていた。
「お前の影響で、うちも業務用の大袋のゆかりが常備されるようになったよ」
　それは良い事だ。
「何かあっても良いように、米とゆかりは常備している」
　俺の言葉に、一瞬キョトンとした後、「ブレないな！」と笑っていた。


「今日は仕事持ち帰っちゃったから、あ・っ・ち・では会えないな」
　そう言って帰って行った現実リアル咲樹は、属性オコジョの名前を書いた紙を置いていった。

『『風オコジョ』エメ（エメラルド）
　『火オコジョ』ビィ（ルビー）
　『水オコジョ』サフィ（サファイア）
　『雷オコジョ』ファイ（ファイアオパール）
　『土オコジョ』スモン（煙水晶）』

　お前もブレないな。
　全部宝石由来か。
　現実リアルの咲樹は、別に宝石が好きなわけでは無い。
　咲・樹・と・し・て・、キラキラした物が好きなのだろう。
　咲樹のオコジョペットの瑪瑙……高値で裏取引されそうだと、ちょっとだけ心配になった。
　だが俺には何も影響無いと気付き、スルーする事にした。



「ただいま！ガルム」
　いつものようにガルムへ抱き付く。
　その後、一頻ひとしきり従魔全員を撫でまくってからまたクランの森へと繰り出した。
　途中で見掛けたトナカイの角に、可愛い花が咲いていた。
　……動物じゃなかったのか。
　でもクランの敷地に入れるのだから、弱い魔獣モンスターなのだろう。

　リヴァイアサンの池に辿り着くと、ハナサンとピリリとムンドが仲良く遊んでいた。
「最近、ムンドは池に入り浸りなのか？」
　思わずリルに聞くと、少し考えた様子をみせる。
＜入り浸っては居ないよ。ネルとシズカの為に滑り台になったり、プーリとオパールを乗せて森に散歩に行ったりしているからね＞
　どうやらムンドはイキッたヤンキーから、面倒見の良いお兄ちゃんへジョブチェンジしたようである。
　前からその片鱗はあったからな。


　その後畑に行くと、トレント達と属性オコジョ達が作業していた。
　俺の趣味で始めた家庭菜園のはずなのに、俺の仕事が無いという。
　畑の隅に設置されたマジックボックスから、収穫された野菜を回収しているだけである。
　いや、作付けは俺の仕事だけど、本当に種を蒔いたり苗を植えたりするだ・け・である。

　マジックボックスから野菜を回収して、その量にちょっと驚いた。
「すごい多いけど、ちゃんと自分達の分はあるのか？」
　側に居た……え～と、この子はカミイだな、に聞いてみる。
　カミイは自分のお腹をポンポンと２回叩いた。
　食べたよ！って事か？
　可愛い過ぎる。