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価値・無価値は、人によって違うものなのだと再確認した
第439話︙簡単では無い……らしい
しおりを挟む属性オコジョの首に革紐でネームダクが付けられた。
可愛い……か?
まさしく首輪って感じだな。
「だから、こういう系は得意じゃないんですってば」
俺の表情を見た斗苫斗的がヘニャリとした顔になる。
獣人だったら、間違いなく耳と尻尾が垂れているだろう。
オコジョ瑪瑙は、リヴァイアサンの池にとりあえず溜める事になった。
池と言っても、実際は湖だからな。
そうそう溢れる事にはならないだろう。
欲しい色の瑪瑙を拾うのも全然問題無いし。
今もオコジョ瑪瑙を捨てに……誰?
二十匹全員にネームタグは付け終わってるはずなのに、今、池ポチャしている属性オコジョには、ソレが無い。
まさかの、新しい属性オコジョ!
俺と目が合い、動きを止めた。
そのまま俺も動きを止めた。
どれくらいの時間を見つめ合っていたのだろう。
「新しい、オコジョ?」
レイの声に、俺も属性オコジョも金縛りから解放されたように動き出した。
「まだいたの?」
咲樹が驚いた声を出し、ついでに魔法も発動した。
何でだよ!
「attachez!」
咲樹の呪文?でキラキラした何かが飛んでいき、属性オコジョを拘束した。
「ちょ!ちょお!!何してるわけ!?」
体が硬直して、棒倒しの棒のように倒れた属性オコジョに駆け寄る。
「わあぁ、大丈夫か?お前は風オコジョか」
持ち上げると、いつもはプラーンとなる軟体動物のような体が、カチンコチンに固まっていた。
咲樹が「解除」と唱えると、ダラーンとなる風オコジョ。
心なしか疲れた表情に見える。
「まだまだ居るかもしれませんね」
レイがそっと風オコジョの頭を撫でる。
「かなり臆病らしいですからね。むしろ、二十匹もペットになってる事の方が驚きですよ」
斗苫斗的は、新しい首輪の準備を始めた。
「何してる?斗苫斗的」
俺の問いに、何が?と不思議そうな顔をする。
「飼うんですよね?」
「飼わないが」
「え?飼うんですよね?」
「いや、飼わないが」
沈黙。
そっと風オコジョを地面に降ろした。
脱兎の如く逃げて……行かなかった。
「飼われる気満々ですよ」
追い討ちを掛けてくる斗苫斗的。
ヨミ爆弾ぶつけてやろうか。
「え~?じゃあ私飼いたい!世話はジルドとレイがしてくれるでしょ?」
それは、飼うとは言わないのでは?
風オコジョから少し離れた場所にしゃがみ込み、ジッと見つめる咲樹。
膝の上にのってる見事なメロンに目がいくのは、悲しい男の性だよな。
「風オコジョね。緑の瞳だからエメ!」
咲樹の顔を見上げてから、風オコジョはテテテテと近寄り、ペイッと咲樹にお手をした。
契約成立である。
ジルドとユズコの時は見ていなかったから知らなかったけど、随分と簡単なのだな。
「何となく考えてる事が解りますけど、違いますからね。カラフル兎以外のペットがゴロゴロいる環境を、普通だと思わないでくださいね」
斗苫斗的になぜか怒られた。
余談だが、咲樹の付けた「エメ」はエメラルドのエメらしい。
「こうなったら全色制覇!」
とか燃えていたから、次に会う時は五匹になっているかもしれない。
残りの属性を宝石にすると何だろうな。
火の瞳はガーネットっぽい色なのだが、咲樹ならルビーの方を選ぶかな。
水は絶対サファイアだろうなぁ。
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