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フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った
第434話:知らぬが花?知らぬが仏?無知は罪?
しおりを挟むマンドラゴラに、飼い主が出来た。
マンドラゴラには、ちゃんと名前が付けられた。
まぁ、ペットだから当たり前だよな。
「ほらほら、走ると転ぶよ。気を付けて、マテリアル」
【ペットカフェ】の中で、斗苫斗的がマンドラゴラへ声を掛けた。
そう。マンドラゴラの飼い主は斗苫斗的である。
「マテリアルですか。そのままですね」
桃のパフェに載ってる半凍りの桃を俺に差し出しながらレイが言う。
この半凍りが良いよな。シャリッと食感が美味い。
「そのまま?」
桃をモグモグしながら問うと、「お行儀悪いわよ!」と咲樹に叱られてしまった。
「マテリアルは、原材料って意味だからな」
ジルドが俺の質問に答えてくれた。
マンドラゴラに『原材料』って、錬金術師は付けたら駄目じゃないか?
焼き鳥屋が鶏に『ネギマ』とか『ツクネ』とか名付けるようなものだよな。
……まぁ、本人が良いなら良いけどな。
「なんかね、『大きくなったらマテリアルになってくださいね!錬金に使うから』って言ったらペットになってました」
斗苫斗的が頬を掻きながら言う。
そのまま「葉っぱください」よりは良いかと思って「マテリアルになってください」と言ってみたそうだ。
本気でくれると思ったわけではなく、軽口だったらしいのだが、運が良かったのだろう。
あ!これが[幸運]の恩恵か!
ふれあい広場では、斗苫斗的のマンドラゴラと、うちのトレント一本と【ペットカフェ】のトレントが仲良く追い掛けっこしている。
なぜか毎日一本、トレントが遊びに来る事になったようなのだ。
俺の感知していないところで。
<キイィ!>
<フッシュウゥ>
<キイキイ>
うちのトレントが残りの二匹?二本?を追い掛ける姿は、ちょっとイジメに見えなくも無いな。
「ウフフ、楽しそうね」
食器を持ってふれあい広場の横を通ったクイーンが、ポツリと呟いて行った。
逆方向から料理を持ったファラが歩いて来て、同じように笑いながらふれあい広場を見た。
「遊べる仲間が増えて良かったね」
目線がすっかり保護者だな、皆。
お店の中にある溶岩槽が、増えていた。
中には火蜥蜴の卵が入っている。
「片方はちゃんと名前付いてるけど、片方は買ったままなのよ。敢えて孵化条件は教えて無いの!自然発生のサラマンダーは名前が無いんだから、時間が掛かっても孵化するかもしれないし!」
紫蘭が悪い笑顔で笑った。
孵化器として溶岩槽を貸すとは書いてあるが、絶対に孵化するとかの確約は無いから詐欺ではない。
しかも片方には名付けがされているのならば、孵化条件が秘匿されているわけでも無い。
情報収集能力も実力のうち、という事なのだろう。
まぁ俺は、情報収集能力に関しては、かなり底辺なので、ブーメランになるからな。あまり触れない事にする。
今までは運が良かっただけだ。
[幸運]を取得していないのにな!
半分凍ったフルーツを使った檬果パフェを食べて冷えた体を温める為に、ガルムソファに深く体を沈める。
それに気付いたガルムが、無言で尻尾をフサリと掛けてくれた。
セーフ機能オンだから、体が冷えたのは気のせいだとは解っているけどな!
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