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フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った
第433話:罠だった!
しおりを挟む「美味っ!甘っ!え?何これ」
俺は葡萄を口に入れた瞬間に叫んでいた。
恐るべし、魔物果物。
予想以上に美味い。
オッサンの顔が有るので敬遠されがちの魔物果物。
味は良いというのは常識だったが、これなら顔が有っても食……うのはやはり躊躇するよなぁ。
俺が食べたのは、魔物葡萄だ。
選んだ理由は、葡萄は皮を剥いて食べるので、オッサンの顔が殆どわからなくなるからだ。
しかも小さいので、ちょっと傷が付いて歪んでいるように見えなくもない。
「これは魔獣達が喜んで食べるよなぁ」
必死の形相でオッサンに齧り付いている属性オコジョ達を見た。
林檎、蜜柑、葡萄、檸檬、梨、桃、無花果、柘榴、枇杷、柿、桜桃、檬果、火龍果、実芭蕉、万寿果、彌猴桃、蕃柘榴、茘枝。
節操なく生えている魔物果物達。
これ、絶対に誰かがここに集めて育てたレベルの種類だよな。
でもうちのメンバーではない。
え?まさか、住人が作った魔物果樹園のあった所に、うちのクラン建てちゃったとかか!?
いや、クランの土地は、ちゃんと不動産屋から買うのだから、横取り出来るはずがないよな。
という事は、うちのクランの敷地内に魔物果樹園モドキがあるのは運営さんの罠?
……いや、いくら何でもそれは無いよな。
無い……よな?
とりあえず、皮を剥いて食べる系を端から食べてみる。
茘枝。瑞々しくて、爽やかな甘さ。
彌猴桃。甘さと酸っぱさのバランスが絶妙。ゴールデンじゃないのも、俺好みだったりする。
万寿果。あれ?鼻に抜ける青臭さが無い!現実では、パパイヤの鼻に抜ける独特の香りが苦手なのだが、それが無い!
檬果。あ~、これ、半分凍らしてバニラアイスと食べたい。某コンビニのパフェみたいにして。
気付いたら、足元に皆が集まってました。
皮を剥いて食べる系を、俺に強請りにきたのだろう。
いやいや、お前達は皮ごといけるよね?
いや、剥くけどさ。
あげるけどさ。
お前達なら皮ごといって大丈夫だからな。毎回持って来なくて良いぞ、トレント達よ。
もう誰も茘枝の皮を剥いてないぞ。
<キイィ>
えぇと、これは何かを訴えているのか?
<食べ難いから剥いて欲しいようだの>
ガルムが通訳してくれましたよ。
小さいトレント達には、茘枝の皮は硬いらしい。
剥いた茘枝を手渡すと、次々に口に放り込み、種だけをペッと吐き出していた。
後日、【ペットカフェ】に行ったら、見た事の無い男の人に笑顔で話し掛けられた。「魔物果物、美味しかったでしょ?」と。
「コッソリ魔物果物集めて育ててた場所にクランが出来て焦ったけど、【sechs(ゼクス)】なら大丈夫だと放置しちゃった」
男がテヘペロしても可愛くない。俺は、女のテヘペロも否定派だが。
「やっと全部実になったね。初物も有るから、よ~く味わってね!」
じゃ!と手を振って離れて行く男。
自己紹介もせずに一方的に話していったけど、絶対に不動産屋さんのプライベートキャラだよな!
魔物果物を【ペットカフェ】に渡すか迷ったが、檬果パフェの誘惑には勝てなかった。
【ペットカフェ】のメニューに、魔物果物パフェが増えた。
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魔物果物。読めましたか?
りんご、みかん、ぶどう、レモン、なし、もも、いちじく、ざくろ、びわ、かき、さくらんぼ、マンゴー、ドラゴンフルーツ、バナナ、パパイヤ、キウイ、グアバ、ライチ
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