ほんわりゲームしてます I

フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った

第423話：念願の？……思ってたのと違う！

　


「それじゃあ、元気でな」
　３０センチない位のトレント達に別れを告げる。
【ペットカフェ】のトレントよりも大きく、太さは全然違うので、森でも生きていけるだろう。
　多分【ペットカフェ】のトレントは幼体だけど、このトレントは成体が縮小したものだ。
　リルとムンドの魔力がいつ抜けるのか知らないが、そのうちに元の大きさにも戻れるはず。

　踵きびすを返し歩き出す。
　ワサワサワサワサ。
　木々の騒ざわめきが今日は近い気がするな。
　ワサワサワサワサ。
　風も無いのに葉擦れの音が聞こえるのは、ここがトレントのいる森だからかな。
　ワサワサワサワサ。
＜ねえ！付いてくるよ！＞
　ああぁぁ！言っちゃ駄目だよシズカ！
　そこは気付かないフリで、森から出ないと！


　コッソリとウィンドウを確認したが、テイムはしていなかった。セーフ。
「世の中には、『我が意に従えテイム！』とか言って、魔物モンスターをテイムしたいテイマーが山程居るのに」
　なぜ何もしていない俺に懐なつくのだろうか。

　視界の隅が光った気がした。
＜トレントが光ったにゃ！＞
＜凄いね～。全部がピカッてしたね～＞
＜ぴぃ！＞
＜ぎゅっ！＞
　感動しているネルとテラとプーリ。
　何故か怒っているヨミ。

＜主あるじよ。トレント共どもが『我が意』に『従った』ようだぞ＞
　ガルムの言葉に、急いでウィンドウを開いた。
『トレント（変異種）８体』が増えていた……。

　テイムの呪文って対象物に向かって言わなくても良いのか～、そうか～。新発見だね～。
　トレント変異種か～。
　トレントは体たいって数えるのか～。
　本じゃないのか～。
　そうなのか～、知らなかったよ～。


　我が意俺の気持ちに従ったのなら、森に帰って欲しかった！
＜隙有らば追ついて行く気満々の者共ものどもの前で、不用意過ぎたのう、主殿あるじどの＞
　ユキの尤もっともなご意見の前に、俺は思わずしゃがみ込んでしまった。

＜主を虐いじめるでない。ユキ＞
　ガルムが俺の頭頂に頬擦りをしてくる。
　それでも立ち上がらない俺を、リルがガルムの上に乗せた。
　パーカーのフード部分を咥えて持ち上げて放ほうるのが当たり前になってきたな。
　現実リアルだとグエッて首が締まりそうだが、何故か幻想世界ここだと大丈夫だった。



　悪友達の爆笑と共に迎えられた俺達は、クランハウスには入らずに庭に居た。
「庭と畑に常駐するんだ～」
　オーベがトレントの頭というか、葉をワサワサと撫でる。
「畑の手入れを任せるつもりだ」
　まぁ、特に難しい手入れは要らないのだが。
「魔物野菜の監視もお願いしても良いのですか？」
　レイもトレントをワサワサと撫でる。
　撫でられたトレントがバサリと枝を揺らした。頷いたのだろう。

「トレントは本来、肉食というか雑食のはずだが」
　ジルドがトレントの幹を持って持ち上げ、横へ向けたり逆さまにしたり観察している。
　持ち上げられたトレントも、大人しく観察されている。
「畑に撒くリルの魔力水をついでに貰えば良いらしい」
　そうでなければ危なくて、クランの敷地に呼べないだろう。
　何せ最弱魔物の属性オコジョが暮らしているのだからな。