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フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った
第422話:ちょっと想像と違った
しおりを挟むちょっと一狩り行こうぜ!と気楽な気持ちで街を出た俺。
まぁ俺が狩るのではなく、従魔達のストレス発散が第一目的だったのだが。
リルの頭の上から転げ落ちたプーリが1メートル位飛んで、皆で喜んだ和みエピソードもあったのだが。
なぜ、俺は今、小さなトレントに囲まれているのだろうか。
多分、事の始まりは、森の中でのトレントとの戦闘だったと思う。
リルが燃やしたトレントのドロップ品の材木を見て、ネルが喜んだのだ。
<爪研ぎにゃ!>
マタタビか!?という程に喜んで材木に頬擦りするネルを見て、「ちょっと多めに持って帰ろうか」と言ったのがいけなかった。
<任せろ!>
ムンドが森の奥へと行ったかと思ったら、大量のトレントを持って来たのだ。
おそらく、トレントが大量に生えて?いるのを纏めてゴッソリと巻き、そのまま空へ浮かんで無理矢理引き抜いて来たのだろう。
大蛇に巻き取られて連れて来られたトレントは、全て戦意喪失しており、生きているはずなのに材木のように投げ出された。
<何だか、ちょっと可哀想!>
シズカが動こうとしないトレントを、前足でチョンチョンと触る。
それだけでも葉をワサリと揺らして怯えるトレント。
<コレを燃やしたら、さすがに罪悪感が残りそうだね>
リルもトレントに触れる。
今度は幹ごとガタリと揺れた。
「はいはい、起き上がれるか?」
可哀想なトレントに声を掛けるが、トレント達はガタゴトと揺れるだけで起き上がらなかった。
もしや、倒れたトレントは起き上がれないのか?
しかし大木と言って良い程のトレントを起き上がらせる力は、俺には無い。微塵も無い。
「ガルム、起こせるか?」
<出来なくは無い。幹に傷が付くが良いかの?>
ガルムがガッと口を開けて見せる。
咥えて起こすのかな?
幹の一部を咥えて起こすとしたら、かなりしっかりと噛み付かないと駄目だろう。
確かに凄い噛み痕が残りそうだ。
<ムンドがやれば良いと思う~>
プーリを抱えて飛んでいるテラが言う。絶対に前は見えていない。
<ぴぃ!>
プーリも賛成なのかな。
<えー!燃やさないのかよ>
文句を言いながらもムンドが近付くと……トレントが転がって逃げた。
<え?!>
ムンドが止まると、トレントも止まる。
<嫌われたのう、ムンドや>
ホホホと上品にユキが笑っている。人型だったら、絶対に扇を持って口元を隠していただろうな。
まぁ、やった事を考えたら嫌われるよな、普通に。
<きゅ?>
中型犬サイズのヨミが、全身に雷を纏わせて俺を見上げる。
何を言っているのかわからないが、きっとかなりエゲツない事な気がする。
<ヨミよ、雷で脅してもトレントは起き上がれんぞ>
ガルムが窘めてくれた。
ヨミちゃん……頼むよ。癒し担当じゃないの!?
<我とムンドの魔力を、一時的に分けてあげようか。それならサイズ変更位は出来るのではないかい?>
リルが言ったこの案が採用された。
何でも出来るのだな、フェンリル様は。
味方にも魔力を分けたり出来るのだろうか?
<主よ。過ぎたる魔力の譲渡など、本来は拷問か魔力過多での消滅を狙う時にやる事なのだぞ>
ガルムが恐ろしい事を教えてくれました。
痛みのない樹木にだからこそ出来る、最終手段だったようです。
そして二匹の魔力譲渡により、俺の膝の高さ程のトレントがわらわらと生まれた。
生まれた?再生した?
まぁ、とにかく自力で起き上がれて良かったよ。
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