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仲村 嘉高

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フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った

第421話:後悔は、先に立たないのだ

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「では、私達は狩りに行ってきます!」
 ルチルを肩に乗せた紫蘭が、ビシッと敬礼をする。
「いや、大丈夫なのか?ルチルは兎も角、紫蘭はテイマーになったばかりだろう」
 前職が何かは知らないが、テイマーになって色々なステータスが下がっているはずだ。
「一応、最前線で戦ってた攻略組の黒魔法使いだったからね!威力がステータス下がっても『しきしま』のモンスター位なら楽勝よ!」
 そうだった。元攻略組だった。
 攻略組のクランを抜けて、ペットカフェを開店したのだったな。

「そういえば、前にココアがクランを立ち上げるのが嫌だから、ペットカフェを開店するとか言ってなかったか?」
 ニュアンスが違ったかもしれないが、それらしき事を言っていた記憶がある。
 攻略組のクランを嫌な辞め方したから、当分クランには入らないのだと思っていた。
 それなのに【ペットカフェ】が実は【愛でるもの】というクランだった事実。

「厳密には、クランを立ち上げてクランハウスを手に入れるより、お店を開店する方が早いって話だったはず~」
 あぁ、そうだったかもしれないな。
「でも開店してみたら、売上げが予想以上だったから、1週間で店舗に2階を増築してクランハウスに出来たのよ!クランハウスって、お店より全然高いのに!」

 クランハウスはそれほど高いのか。
 規模にもよるのだろうが、【sechs(ゼクス)】のクランハウスも高そうだよな。
 何せ敷地面積が半端なく広い。


「あとね、クランに有名な生産者が三人も入ってくれたからね!最初はカフェのバイトだったんだけど、クラン立ち上げるなら入るって言ってくれてね。お店の開店資金も頭割りにしてくれたから、クランハウスに改築できたの!お店とクランハウスのお金を、9等分とはいえ普通はポンッと出せないよ!」
 さ、さすが中身は女子だな。
 話し始めたら止まらない。


 シアラはクラン員だが、クランハウスに個室は無いそうだ。
 なので、出資はしていない。
 ただ、店員の中で一人だけクランに入っていないと、何かあった時に守れないから登録だけしてあるそうだ。
 そのうち旦那のリイドとか、義弟?義妹?のリコンスとかも登録していそうだな。
 あの二人もクランが解散した後、どこにも所属していないはずだし。

 ハッ!これがフラグか!?
 フラグと言うものか!!
 実現しても、何も困らないけどな。



 ここは『commerce(コマース)』を出てすぐの所で、チラホラ人の通りはあるが従魔達と居ても邪魔にはならない程度にはひらけている。
 紫蘭は、クラン設立までの経緯と、お店がクランハウスに改装された時の話と、その他諸々の聞いてもいない情報を一方的に20分程語ってから、ルチルと狩りへと出発した。
 うっかりクランの事を聞いた自分が悪いのだが、まさか20分も立ち話をするとは思わなかった。

あるじ、大丈夫か?疲れておらぬか?>
 ずっと横にいてくれたガルムが聞いてくる。
「大丈夫だ。ガルムもお疲れ様」
 ギュッと抱きついてガルムの胸の毛エプロンに埋もれる。
 癒される。
 あぁ、予想以上に疲れていたみたいだな。

 ヨミは俺の服の中で熟睡してるし、他のチビッ子組は目の届く範囲で遊んでいた。
 ユキとネルは側にはいたが、ガルムと違って適当にくつろいでいたな。
 紳士で執事なガルムだけが俺と共に話を聞いていたのだった。
 本当にお疲れ様でした。


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