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フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った
第418話:世の中、不思議が沢山w
しおりを挟むムンドが下へ向いて口を開くと、綺麗な緋色の火蜥蜴が、炎柄の卵の殻と共に転がり落ちた。
<ちょ!痛いじゃないの!何考えてるの?レディには優しくしなさいよ!>
レディなのか?とは、言わないでおく。
ムンドとしたら、焦って口から出したのだろう。
ペッと吐き出さなかっただけ、良かったと思う。
高さも火蜥蜴なら大丈夫な高さだし。
大丈夫……だよな?
俺の火蜥蜴基準がオーベのピリリなのだが、よく考えたらピリリは変異種だった。
「ピリリ~今更だけど、ピリリはオス?メス?どっち~?」
俺と同じ事を思ったらしいオーベがピリリに質問する。
ピリリはテラに抱えられて浮いていた。溶岩から無理矢理出されたルチルを心配して、見に行っていたのだろう。
オーベの膝の上にポトリと落とされるピリリ。
<どっちでもあるし~、どっちでも無いのだよ~。変わる種族だからね~>
おぉう!新事実!
両性具有だか性転換生物だかってやつだよね。爬虫類とか両生類とか魚とかにいる。
ルチルはメス確定なのか?
いや、でも飼い主……じゃなくて、主人の紫蘭が外見が男性で中身が女性だからなぁ。
うぅややこしい。
ピリリはオーベのペットだけど、ルチルは紫蘭の従魔だ。同じ火蜥蜴でも違う。
そっちでもややこしい。
当たり前だが、店内で注目の的だった。
火蜥蜴の孵化を初めて見て、全員が妙な興奮状態になっている。
そのあおりを受けて、植木鉢の中のアルラウネ、トレント、マンドラゴラももれなく興奮していた。
全員葉っぱがワッサワッサしてる。
「火蜥蜴の孵化場になりそうだよな!」
いつもよりちょっとテンションの高いユズコが言う。
「ピリリ監修の溶岩槽なんて~他にないもんね~」
オーベが嬉しそうに肩の上のピリリを撫でる。
そうか。そうだった。
孵化に適した環境をピリリに聞いて作ったのだった。
「これから、火蜥蜴を多く見かけるようになるかもしれませんね」
そうだな。間違った常識が訂正されていく事だろう。
日向に卵を置いている人が改めれば……いや、違う。
まず名付けをしてスイッチを入れてやらないとだ。
「名前の件は、気付く奴なら気付く。紫蘭はマメにルチルの名を呼んでいたからな」
俺の表情で思っている事がバレたのか、ジルドがそう話し掛けてきた。
そんなジルドは俺の頭に触れようとして、ガルムの顔に阻止された。
<幼子にするように、主の頭に触れようとするでない>
いつもは何も言わないのに、他人の目が多いからか?
ガルム、好きだ!
その後、本当に火蜥蜴の孵化場として溶岩槽が活躍するようになるが、それは俺には関係無いから割愛。
火蜥蜴の卵の値段が跳ね上がって、爺さんがウハウハだったのも、割愛しておこう。
火蜥蜴ほどアルラウネの種の値段が上がらないのは、【ペットカフェ】のアルラウネが誰にもテイムされないからだろうな。
誰かにテイムされたら、幼女じゃなくなって、森で見かけたような姿になるのだろうか。
それとも普通に成長するのだろうか。
色々知りたい事はまだまだあるなぁ。
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