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フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った

第400話:哀しい……かな

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 しょんぼりとしたムンドは、小さく小さくなって、なぜかヨミの角に巻き付いた。
 ヨミの角には、ドーロとお揃いのお飾りがあるので巻き付き難いと思うのだが……まぁ良いか。しばらく反省していなさい。
 実は、皆がわちゃわちゃとしている間、ヨミはずっと寝ていて我関せずだったからかもしれない。
 そしてそのヨミ自身は、可愛い風呂敷に包まれてリルに運ばれている。
 風呂敷は【桜屋】で買った物だ。
 プーリやオパールが羨ましかったのだろうか?
 卵だから、運ぶのに風呂敷が必要だっただけなのだがな。

「そろそろ帰って来なさい」
 念話で、胡桃拾いに行ったチビッ子組を呼び戻す。
<は~い。胡桃と栗と銀杏拾った~>
 恐ろしい念話が返ってきた。
 銀杏!?あの、くっさい銀杏?
 腐敗臭と言うか、死臭に近いアレか!?

 置いて来させた方が良いだろうか?
 あの臭いは、手とか服とかに付くと、しばらく取れなくて泣く。
 現実リアルで祖母と銀杏拾いをした後、中身の種を取り出すのが地獄だった。
 土に埋めて取るのが一般的らしいが、祖母は水に入れてふやかして無理矢理種を取り出していた。


 森の奥から元気に跳んで来る影が近付いて来る。
<ただいま!いっぱい拾った!>
 元気なシズカの声。
 続いていやに大きな影がフワフワと近付いて来て……。
<むい!>
 プーリが変な鳴き方をしたなと思ったら、口にシズカの風呂敷を咥えていた。
 重そうだな。
 そのプーリをテラが抱えて飛んでいた。

 あれ?臭いがしない?
 幻想世界ファンタジーワールドでは、銀杏は種だけで落ちているのか?
<あのね!テラがね!臭いところは溶かしたんだよ!凄いよね>
 シズカが興奮気味に報告をしてくれる。
<胡桃もね!硬い殻は風でシュピピッてやるの!>
「そうか、それは凄いな」
 シズカの頭を撫でる。
 溶かしたのは毒でだよな~、中身は無事なのかな~?などと考えていたのは内緒だ。


 胡桃と栗と銀杏をインベントリへと仕舞った。
 胡桃は荒く砕いてバニラアイスに混ぜるか。
 小松菜を茹でて、すり鉢ですった胡桃とだし醤油でえるのも良いな。
 これならカラフル兎達も食べられるし。
 ほうれん草や三つ葉でやっても美味いのだ。

 銀杏は、金槌カナヅチでヒビをいれて、フライパンで空炒りするくらいしか思いつかない。
 本格的な茶碗蒸しでも作れば良いのかもしれないが、何せ俺の作るのは電子レンジでの簡単茶碗蒸しだ。
 前に封筒銀杏ってのをネットで見たが、まだやった事は無い。

 栗は……茹でるくらいしか出来ない。
 栗ご飯も、好きだけど自分ではやらないな。
 あ!【ペットカフェ】に持って行ったら、美味しく調理してもらえそうだよな。
 持ち込みは駄目だったはずだから、ここはシズカに開店前に持って行かせよう。
 ネルとヨミに可愛くさせれば、多分大丈夫だ。

あるじよ、悪い顔をしておるぞ>
 横を歩くガルムから、とてもかなしい指摘を受けました。
 ちょっと反省。
 そして栗と銀杏を【ペットカフェ】に持って行かせるのはやめようと思いました。


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