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フラグとは、回収する為にあるのだ……と知った

第399話:我儘

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<オパールも来たら楽しいのにな!>
 ムンドがプーリを頭に乗せて揺れながら言う。
 プーリも頷いて……るのか?揺れてるからよく判らないな。
<ぴぃ>
 これは『だよね!』なのか『そう?』なのか。
<えぇー?プーリはツマンナイな!>
 何が!?
 会話相手がムンドだから、ますます判らない。
 ムンド自体が若干通訳が欲しい時があるからな。

<プーリの方がムンドより大人じゃの>
 ホホホとユキが笑う。
「プーリは何て言ってたのか教えてくれ」
 素直にユキに聞いてみよう。
<ペットだからダメ!と言っておったのじゃ>
 おぉ!プーリはペットと従魔の違いを、ちゃんと理解しているのだな。

<そうだよ~。だからボクもドーロを連れて来ないんだよ~>
 テラがプーリに同意する。
 ドーロは、八咫烏ヤタガラスのオパールよりも更に弱いカラフル兎だからな。
 プーリと仲の良いアニンとアモンもカラフル兎か。
<ピリリもペットだけどな!>
 うん、まぁ、ムンドの言う事も間違って無いけどな。
 ピリリはちょっと特別だと思うぞ。

 そもそも火蜥蜴サラマンダーをペットにするのは勿体無いと言うか……。
 テイマーの紫蘭の火蜥蜴ルチルより、オーベのペットの火蜥蜴ピリリの方が絶対に強いからな。
 何せピリリは変異種だし。
 あ!そうか!
 ルチルが孵化したら、普通の火蜥蜴を初めて見る事になるのか!
 楽しみだな。



<ぴぴ!>
 ん?ムンドの頭の上からプーリが何かを訴えている。
 視線は、森の中?
 今俺達は舗装された道を進んでいる。
 たまには自分の足で歩きたいって俺の我儘だ。
 我儘か?普通の事だよな。

「どうした?プーリ」
 森の中に行きたいと訴えている……ような気がする。
<ヤダよ。胡桃クルミなんて美味く無いじゃん>
 プーリの乗り物と化しているムンドが文句を言う。
 どうやら、プーリは胡桃を取りに行きたいらしい。
 拾いに?店頭以外で胡桃を見た事が無いから、どう収穫するのか知らない。

<アモンとアニンのお土産にしたいって言うんだから、行ってあげなよ!ムンドのケチ!>
 シズカが珍しく強い口調でムンドを責める。
<いいよ~じゃあ一緒に行こうか~。ボクもドーロにお土産にしよ~>
 テラがムンドの頭の上からヒョイッとプーリを持ち上げて、森の中に入って行ってしまった。
 その後をシズカが追う。
 それを呆然と見送るムンドがいる。

<自業自得だね>
 リル!追い討ち!!
<さっさと連れて行ってやれば良かったのじゃ>
 ユキまで!
<行かないなんて言ってないじゃん!>
 いやいや、ヤダって言ってたよね?
<ヤダって言ったにゃ。ネルもムンドは行かないんだと思ったにゃ>
<もう1回お願いされたら、ちゃんと行こうと……>
 語尾が小さくなっていく。

 イキッた中学生面倒くさいな!

「本当に行きたくない時以外は、否定的な事を言ったら駄目だろう、ムンド」
 ムンドの顔が俺の方へ向く。
 心なしかしょんぼりしているか?
「お前が我儘言ったり、甘えたりしても許される相手ばかりでは無いよ」
 今までリルやガルムなど、を理解してくれる相手とばかりいたのだろうな。


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