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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので
第380話:策士?(笑)
しおりを挟む「店の場所は決まってるのか?」
ジルドが女子達の話をぶった切って質問をする。
勇者様!
「私達のペットは、『魔動物街』のペットホテルに預けてるから、やっぱこの街かなぁ」
「本当は『しきしま』が良いんだけどね~」
「無人の店にペットを放置は怖いから、ログオフ中はペットホテルよね」
「毎回転移陣で移動するのも大変だしね~」
「お店に設置したいけど、店舗代より転移陣代のが倍高いわよ!」
転移陣!高いのは知ってたけど、それほど高いのか!
「全部でカラフル兎は何匹になるのですか?二十匹くらいですか?」
レイからの、もっともな質問。そこ、重要。
全員が三匹ずつでも十八匹か。
ちょっと寂しい気もするけど、ペットカフェとしては有りか?
「そんなにいるわけないじゃない。八匹よ!」
はい?八匹?
ココアが三匹で、他の五人は一匹ずつって事?
「いやいやいや、さすがに少な過ぎるでしょう」
現実の兎カフェに行った事はないけど、八匹はないわ~。
「でも全匹大きい子よ?」
えぇっと誰さんかな?そういえば名前聞いてなかったな。
とにかく、オネエさん?今は大きさ関係無いですよね?
「ヴィンみたいに何百匹もいる方がおかしいからね?」
ココアが言ってやった!みたいな顔してるけど、うちのは全部小さいからな!
女子パワーを舐めていた。
何百匹の話を聞いた彼女達に、気付いたら丸め込まれていた。
いや、ゴリ押し?力押し?
あのレイとジルドまで最後には「他のクラン員が良いと言ったら」というところまで説得されていた。
何を?
カラフル兎の貸し出しである。
彼女達の店とうちのペットのお家に、ペット専用の転移陣を設定し、うちのクランのペットを貸し出すという仮契約を交わしていた。
転移陣の設置代金は、彼女達持ちだ。
さっき「高いから無理~」とか言ってなかったか?
勿論、残りの悪友三人のうち一人でも駄目だと言ったら、契約は白紙になる。
転移陣だが、うちのペットだけが行き来出来るようにすると言われたが、もし本当に貸し出しが始まったら彼女達のペットも通れるように設定して欲しい。
ペット達には、飼い主の事情など関係無いからな。
もし仲良くなったら、一緒に遊びたいだろうし、かたまって寝たいだろうし、ご飯も一緒に食べたいだろう。
クランハウス内、共有スペース。
クラーケンで作られたタコ焼きを食べながら、緑茶をすするオーベ。
相対するように座っているのは、ココアだ。
あの話し合いの後、オーベがログインしていたのでクランハウスへと移動した。
ココアの友人達は、まだ『魔動物街』に居る。
カフェの研究をするそうだ。
ジルドとレイは、ペットのお家に行っている。
「別に良いんじゃない~?」
クラン責任者であるオーべから、何とも軽い返事が返ってきた。
交渉と言うか、説得と言うか、とにかくゴネる気満々だったココアが拍子抜けしている。
「え?良いの?」
「俺は、だよ~。残り二人にもちゃんと聞いてね~」
「それは勿論だわ」
ココアが素直に喜ぶが、次に言われたオーベの条件に、笑顔が若干引きつった。
「あ、うちの子を貸し出す条件は、護衛としてピリリも行かせる事~。カラフル兎達に何かあったら、多分、お店が消滅するから気を付けてね~」
「も、勿論だわ」
さっきとココアの声と緊張感が違うが、気にしない。
そして俺はオーベの提案に、なるほど!と感心していた。
うちも、従魔達も一緒に行けるようにしてもらおう。
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