ほんわりゲームしてます

仲村 嘉高

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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので

第379話:女三人で姦しい。倍だと?

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「お店を開こうと思うの」
 ココアが真面目な顔で告げる。
 あまりにも急な話の展開に、俺の頭はついていかない。
 攻略組のクランを辞めた。そこでペットのカラフル兎を虐められたから、親しくない異界人プレイヤーは信用出来ないから、他のクランに入る気はない。
 そこまでは解った。
 そこからなぜ「お店を開く」になる?

「誰かとクランを作ってクランハウスを手に入れるより、お店を作る方が早いの。それにね、私、とても良い事に気が付いたの!」
 良い事?
「ペットと触れ合えるカフェにすれば、カラフル兎の居場所も出来るし、一石二鳥じゃない?」
「カラフル兎三匹で~?」
 オーベが現実的なツッコミを入れる。
 確かに、兎三匹しか居ないのは寂しいよな。

「もう少し居るわ。パーティーメンバーも何匹か残してるから、その子達も一緒よ」
 盾役の彼とか、あの魔女っ子とかか?
 もうひとりは確か、寡黙な忍者だったよな?接客大丈夫か?
 俺の視線に気付いたのだろう。顔の前で「チッチッチ」と指を振られる。
 ココア、たまに言動が古いよな。

では無いわよ?あの時のパーティーは、攻略組とは別」
 あ、やはりそうだよな。
 攻略組があれほどアッサリ負けちゃ駄目だよな。
「言っとくけど、あの子達も攻略組だし、実力だけならいつものパーティーにも負けてないからね?他にもやりたい事が沢山あるだけだから!」
 ……何故か怒られた。理不尽。



 今、俺は『いつきしま』に来ております。
『魔動物街』の従魔やペットを連れて入れるカフェにいます。
 目の前では、見事なが開かれております。
 会話だけなら。
 ココアと他に五人の……残念イケメン。

「マジで有り得なくない?人の陣地に勝手に入るって、馬鹿なの!?」
「ほんと、だから頭悪い男って嫌よねぇ」
「弱いのが悪いとか言うけどさ、ペットの兎に勝てんの自慢すんのかって話よね」
「ホント、ホント!そんな偉そうな事は一度でもアタシに勝ってから言えって話よね」
「それか、ガルムでも良いわよね」
 六人の視線が俺と後ろに控えるガルムに集中した。

 思わず苦笑した俺とは違い、隣のレイが冷静に対応する。
「皆さんの怒りは判りました。お話を進めても?」
 レイの言葉に「あ、ごめんなさ~い」とケラケラ笑う六人。
 お昼休憩中の女子社員を彷彿ほうふつさせる。
 まぁは女性だからな。

 ココアのパーティーメンバー五人は、全員ココアと同じあやまちを犯した仲間だそうだ。
 そう。性別を意図せずに変えてしまった人。
 普通途中で気付かないか?と思ったのだが、事前調べを念入りにし、種族も職業も前もって決めていたのでサクサクと進んでしまったそうだ。
 それなら性別は変更しないだろ?と思っていたら、最初は全員[男]になっていて、変更しないとそのまま確定してしまうそうだ。
 勝手に自分の性別になっていると思い込んでいた。

 もし最初に[女]になる設定だったら、俺はネカマになっていたわけか。
 いや、色々な種族を試していたから、途中で気付いていたかな。
 それにしても、先程から全然話が止まらないし、進まない。
 話の移り変わりが早過ぎてついて行けない。
 元クランの愚痴に始まり、レイの言葉をキッカケにお店の話へ。そしてカフェの内装からシステムの話になり、メニューの話から食器の話。
 今は、どこそこのカフェの食器が可愛い!から、美味しいケーキの話へ移り変わっていた。


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