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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので
第378話:表の裏側
しおりを挟むとりあえずココアのカラフル兎三匹を、ペットのお家に入れるように設定した。俺ではなくレイが。
最初は戸惑っていた三匹も、周りに居るのが殆どが仲間だと理解したのか、しばらくするとくつろぎ始めた。
三匹が落ち着いたのを確認して、またクランハウスへと戻る。
ココアに辞めた経緯を詳しく聞く為だ。
今日は、先にレイとジルドとオーベがログインしていた。俺を含めた四人でしっかりと話を聞く。
聞いてすぐに後悔したけどな。
胸糞悪過ぎる。
ココアの所属していたクランは、攻略組として活動しているそうだ。
クランハウスを持っているが個人の部屋は無く、大きなホールがひとつだけ。
そこを個人の私物置き場として区切ってあるだけらしい。
特に間仕切りもなく、衝立は自分の陣地に自分で用意するルールになっているとか。
「荷物は殆どインベントリに入っているし、着替えもウィンドウの操作だけで終わるから、問題無いっちゃ無いんだけどさ」
ココアが膝の上で拳を握り込む。
「私はカラフル兎を置いておいたのよ」
餌はたべるけど排泄はしないカラフル兎。
鳴くわけでもなく、特に臭いもない。
クランハウスの庭には従魔も居たらしく、生物持込み禁止のルールなどもなかったらしい。
「神聖な戦いの場にペットなんか持ち込むなって、カラフル兎の小屋を壁に投げつけられたのよ!?私、ちゃんと規定の戦闘はこなしていたし、ハッキリ言ってクラン貢献度は上位に入るのよ!自由時間にペットと戯れて何か問題ある!?戦闘に連れて行ったわけでも無いのよ!!」
うぅん。うちのクランでは何も問題ないな。
一応準攻略組だったらしいが、今となっては単なる仲良しクラブだ。
それぞれが好きな事をしている。
むしろ、他人のモフモフと遊んでいる。
「理由はどうであれ、無抵抗のペットを傷付ける行為は問題ですね」
おおぉぉぉ。レイが怒っている。
「同じ目に合わせれば良いのか?」
ジルドがニヤリと笑った。黒い、黒過ぎるぞ、笑顔が。
「まぁ、そっちは追々ね。それでココアはどうするつもり~?兎達を【sechs(ゼクス)】で預かるのは良いけど、俺かジルドかレイが居る時じゃないと会えなくなっちゃうよ~?」
オーベが首を傾げて、ココアに質問する。
咲樹の影響か?その可愛いフリした動作は。
「んもう!クランに入れてくれるつもりは無いのね!」
頬を膨らませて、拗ねたように言うココア。
惜しい!本当に残念だが、今のココアはイケメンマッチョだ!
女性なら、絶対にあざと可愛いのに!
「冗談は置いておいて」
あ、冗談ですか。
「日に日にカラフル兎達の元気がなくなっていくから、おかしいとは思っていたの。アイツ等、私が居ない間に小屋を蹴ったり、嫌がらせしてたのよ。抵抗しない小動物でストレス発散してたのよ!」
「万死に値するな」
「でしょう?私もジルドと同じ意見よ。それは、後々ね。とにかく、【sechs(ゼクス)】に入れないなら、ほかのクランに入るつもりは無いのよ」
信用出来ないからね、と苦笑した顔は、本気でそう思っているのだと察せられた。
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