364 / 506
タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第364話:正しい対処をお願いしますw
しおりを挟む甘味コンビをシメ……教育的指導した後、レイが俺の前に跪いた。
いやいや、騎士らしい行動ではあるけれども!
俺の前でやるのはやめてくれ。
「それで、産まれるというのは、もしや八咫烏が孵化するという事ですか?」
あ、はい、そうです。すみません、言い間違えました。
卵を産む、卵から孵る、ですね。
「さっきからコツコツ聞こえてる。ユキ曰く、まだ穴が開いていないから当分先らしいけど、まぁ一応な」
テラや火蜥蜴の孵化は異常だったようだ。鳥じゃないけど。
でもプーリもそれほど時間掛かっていないよな。
だが、テレビとかで見た孵化は、ヒビが入ってからが確かに長かった。
悩む。
いや、俺が悩んでも仕方ないのだがな。
レイの子だし。
「風呂敷から出してあげた方が良いですか?」
レイがユキに質問する。
<もう魔力は吸わぬし、どちらでも大丈夫だぞぇ。好きにするが良いのじゃ>
少し悩んだレイは、ユキの首から風呂敷を外した。
中から八咫烏の卵を取り出し、両手でそっと包むように持つ。
「幸い僕は自由業ですし、ログイン時間の余裕もまだありますから、このまま見守ります」
え、何時間その状態でいるつもり?
右手に持ったり、左手に持ったり、たまに卵に耳を当てて様子を確認している。
両手で持って、目の前まで持ち上げてフフッと笑ったりして、どれだけ楽しみにしてるわけ?
名付けしちゃったからしょうがなく引き取ります~みたいな雰囲気だったのに、孵化したら溺愛間違いなしだろ、レイさんや。
温泉黒たまごのように真っ黒なので、日に透かしても中が確認出来ない。
ただ、音は聞こえるので間違いなく生きている。
八咫烏って、基本は話せないのか?
従魔になれば、主人とだけは話せるのか?
俺の中の八咫烏情報があのクソカラス兄弟だけなのがなぁ。
ピリリは孵化した瞬間から普通に話してたけど、火蜥蜴の変異種だしなぁ。
それでも、こちらの言う事は間違いなく理解するはず。
「レイ、オパールに声掛けしてみたらどうだ?」
「声掛けですか?」
レイの言葉に頷いてみせる。
「ほら、マラソンとかのラストスパート?沿道からの応援が力になりました、とかよく聞くだろ?応援されて嫌な気持ちにはならないと思う」
テラもピリリも嘴がないからか、このコツコツ期間が無かった。
特にピリリはドッカーンみたいな登場してたな。
リルのせいで……。
「やってみますね。……オパール、皆待ってるから頑張ってください。八咫烏の不名誉な現状も払拭しましょうね」
レイ、それは応援か?プレッシャーと言わないか?
産まれ……孵化前から使命を与えられてるって、俺なら萎縮しそうだ。
だが、魔物はどうやら違うらしい。
俄然やる気を出した八咫烏は、とうとう殻を突き破った。
あれ?黒い殻から覗く嘴が……白くないか?
いや、欠けた殻の破片か?表面は黒くても確か裏面は白かったよな、温泉黒たまご。
応援ありがとうございます!
123
お気に入りに追加
1,000
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる