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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第363話:愛されてる?
しおりを挟む超小狼姿になったリルが膝の上、ネルの横に乗って来た。
今のネルはブーツを履いていないので、見た目は完全に普通の猫だ。
膝の上で丸まる猫最高。
そしてそれにくっついているリル。
胸元にはヨミ、フードの中にはテラ。
ガルムに埋もれている俺。
更にはシズカとユキも寄って来た。
二匹は他に比べるとちょっと大きいので、俺には乗らずに両脇にくっついてくる。
うぅん。現実だったら、夏にこれだけの動物に囲まれたら至福だけど地獄だろうな。
まさに天国と地獄。
数が足らない……と思ったら、プーリがムンドに絡め取られていた。
「ちょ!何やっ……ん?」
ムンドを叱ろうかと声を出したが、よく見るとプーリが楽しそうだ。
プーリをグルグル巻きにしたムンドは、微かに浮いていた。
体に幾重にも巻き付いているのは、一ヶ所に負担が掛からないようにの配慮のようだ。
観察してみると、プーリの体とムンドの体の間には、落ちない程度の隙間がちゃんとあった。
皆、ちゃんと仲良く出来そうでなにより。
んん?これがスキルの恩恵?
逆?皆がすぐに仲良くなるから、スキルが生えたのかな。
コツコツコツ。
どこかから固いものをぶつける音がする。
好き勝手に飲み食いし、そろそろお開きにしようと皆でダラけていた時にそれは聞こえて来た。
とても小さい音で、俺以外には聞こえていないようだ。
周りはリッチブルの料理の話で盛り上がっている。
追加で作られたテールカレーも、恐ろしい速さで空になっていったな。
余談だが、フレースヴェルグの肉は美味かった。
シアラのあのタレは、確かに鳥系の方が更に美味いと思った。
「どうした?ヴィン」
キョロキョロと周りを見回していた俺に、ジルドが声を掛けてくる。
うん。お前がどうした。
俺の視線の先には、黒い犬のフード付き着ぐるみを着ているジルド。
レイと違って自前の耳も尻尾の無いので、ツナギではなく本当に着ぐるみだ。
俺の視線と表情に気付いたのだろう。
ジルドが自分の服装を見てから、俺を見る。
「これは、クランハウスの中で着ようと思ってな。綺羅が作ってくれた」
そうですか。別に個人の自由だから良いと思います。
「で、ヴィンはどうした?キョロキョロしてただろ?」
あぁ、そうだった。
ジルドの黒犬着ぐるみが衝撃的過ぎて、一瞬忘れてたわ。
「いや、何かコツコツと固いものをぶつける音が聞こえた気がしてな」
ジルドの質問に答えると、右側から腕を引かれた。
ユキだ。
<主殿。それはもしや、八咫烏が殻を突いている音ではないかのぅ>
は?殻を突いている?
「それって産まれるって事じゃないの!?」
<まだ殻に穴さえ開けられておらぬのじゃから、当分先なのじゃ>
否定はしないのね!
「レイ!産まれる!」
八咫烏の卵の本来の持ち主であるレイを呼ぶ。
「え?ヴィン、妊娠してたの?」
「レイが父親って事!?」
ココアとミロの甘味コンビは無視する。
「ヴィンを孕ませた記憶はありませんよ」
レイがお馬鹿二人にキッチリと説明をする。
アイアンクローを喰らった二人はとても痛がっていた。セーフ機能オフな二人だから、さぞかし痛かろう。
いや、違う。お馬鹿二人は良いから!!
お前の子なのは間違いではないからな!
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