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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第359話:違うからね!?
しおりを挟む「鷲を食べるなんて普通ないんだから、そのままの名前でも良いんでは?」
綺羅が焼いた肉をてんこ盛りにした皿を手にやって来た。
俺の所に来るには、何か食べ物を持っていないと駄目なルールでも出来たのだろうか。
更に綺羅は、悪友達と従魔達にも取り分けている。
勿論、俺のもとにも肉がきた。
「美味ぁ!」
渡された肉を一口食べて、思わず叫んでしまった。
「ですよね!シアラさん特製の漬けダレです!」
マジか!凄いな、シアラ。
「何にでも合うそうですよ!おすすめは鳥肉だそうです!」
「マジか!あるぞ!フレースヴェルグの胸肉とササミとモモに…く……が」
あ、しまった。
プリンがうりゅーと涙を目に溜めて俯いていた。
「プリン!これは、もう肉になっているから食べるのであって、プリンを食べる事は無いからな!」
あぁ!自分で自分の首を絞めた!
プリンの頭を撫でて、誤解を解こうと頑張るが、いまいち成功していない。
こんな状況なのに、フレースヴェルグの肉を俺に要求して持って行った綺羅は凄いと思う。
<男の子が泣くでない!同じ兎を骨ごと食べるヨミを見習うのじゃ>
ユキがプリンを叱る。
そうか、プリンは男の子か~。
ヨミが食べてるのはキラーバニーでアルミラージではないのだけれど、ヨミならたとえアルミラージでも食べそうだよな。
アルミラージが食用に向いてるかは知らないが。
さて、他の従魔達に慰められて泣き止んだプリンの呼び名を決めよう。
慰め……られたのだよな?
最後にヨミが<きゅぅ?ぎゅ!>と足ダンと共に鳴いていた。脅して無いよな?大丈夫だよな?
信じてるからな?ヨミちゃんや。
プリンが男の子だと判明したので、リンは無しかな。
いや、これは、自分で決めてもらうってのも有りだよな。
「プリン、呼び名を決めよう」
呼び掛けると、クルリと振り返る。
首の可動域が予想より大きくてビビッた。
「プーリ」
<ぴぃ!>
「プリー」
<ぴぃ!>
「リン?」
<ぴぃ>
駄目だこりゃ。
全部に返事をされてしまった。
まぁ、どれでも大丈夫って事だと思おう。
もしかして適当に返事をしているだけだとか?
「プリケツ」
<……>
あ、一応はちゃんと考えて返事をしているのね。
何となく変な空気を感じて顔を上げると、皆が無表情で俺を見ていた。
いや!今のは、プリンを試しただけで本当に『プリケツ』って付けようとしたわけじゃ無いからな!?
悪友達だけでなく、従魔達もスンとした顔だ。
ガルムまで残念なものを見る表情をしている。
止めて!違うから!!
プリンの名前は、俺が呼びやすいと言う理由で「プーリ」に決定。
プリンも異論は無いようだ。
次からはもう「プリン」とは呼ばないとしっかりと説明し、プリン=食べ物の方だと納得したようだった。
ここまで長かった。
フレースヴェルグの卵が食用じゃないと初めから判っていれば、もっとちゃんとした名前にしたのに!
肉の次に入っていれば、食べる卵だと思うよな?普通。
そもそも「プリン」もプーリが勝手に名付けだと勘違いしたのが原因だしな。
『プリンにしようと思ったのに』
この一言が始まりでした。
プーリとしては、『プリンにしようと思ったのに、違う名前考えなきゃ!』だと思ったのか?
それで『プリンで良いよ!』だったのかな。
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