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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ

第358話:プリンとプリン

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 プリンにプリンの説明をした。
 ややこしいな。
 鷲のプリンにデザートのプリンの説明をした。
 面倒臭い。
 決めた。
 プリンに愛称を付ける。

「と、言うわけでプリン。ややこしいからお前の呼び名を新たに決めようと思う」
<ぴ?>
 うん。これは理解してないな。
 コテンと首を傾げる姿があざとい。
 まさか咲樹の影響が出ているとかか!?
 思わず見てしまった咲樹と目が合い「鳥の普通の行動よ」と、先に言われてしまった。

「え~と、本物……じゃ語弊があるね~、食べる方のプリンを用意したら、説明が早いんじゃないの~?」
 オーベが提案してくるが、街までプリンを探しに行く手間が……
「そんなヴィンに朗報です!ここになぜかプリンがあるのです!」
 ジャーンとインベントリからプリンを取り出したのはユズコだ。口調が通販番組のように、わざとらしくて笑える。

「あ、私はマンゴープリンね」
「俺は~桃のプリンね~」
「ブルーベリーソースがけのミルクプリンは、私のだからな」
「僕はブドウのプリンで。一応ヴィンのは抹茶にしたのですが、普通のもありますよ?ユズコのですが」
「おう!普通のが良かったら交換するぞ!」
 俺の知らないところで、プリンを買っていたようだ。

「だって、プリンプリン言うから食べたくなっちゃって」
 咲樹が腕をキュッと寄せて胸を強調する。
 遠巻きなギャラリーから「おぉ!」と歓声が上がるが、見えているのか?それも怖いな。
 とりあえずお馬鹿な咲樹はスルーして、ユズコの方へと向き直る。

「ユズコ、すまんがうちのプリンに説明するには、普通のプリンが良いと思うから交換してくれ」
「大丈夫だ!抹茶のプリンも好きだからな!」
 こころよく了承してくれたユズコから普通の黄色いプリンを受け取る。
 食べるなら抹茶プリンも魅力的なのだがな。
 かなり!魅力的なのだがな!

 プリンの前にプリンを置く。
「プリン、これが食べ物のプリンだ。卵と牛乳と砂糖で出来ている」
 もしかしたら、生クリームとか入ってるかもしれないが、そこは割愛。
「一般的に『プリンを食べる』と言えば、これを食べる事を言う。お前を食べると言う意味では無い。それは解ったか?」
<ぴぃ>
 プリンが頷く。
「でも色々とややこしいから、プリンの呼び方を変えようと思う」
<ぴぴ!>
 多分、了承の返事だとは思う……けど、一応ガルムの顔を見る。
<大丈夫のようだの>
 大丈夫だそうです。


 プリンの愛称。

 プーリ。
 プリー。
 プー。
 リン。
 プリリン。
 プリーン。

 黄色でプーって、何か違う生物のようだ。
 ハチミツ好きなぬいぐるみ的な……?
 色々ヤバイからやめておこう。
 プリリンって、元の名前よりも長くなってるし、鷲よりもスライム向きの名前だな。
 同じ理由でプリーンも却下。

 プーリかプリーかリン。
 リンだと女の子っぽいよな。
 いやちょっと待て。
 プリンの性別はどっちなのか。
 そもそもネルだって、俺は勝手にオスだと思っていたのだった。
 もしやプリンもメスって事も?

 プリンの尻尾を摘んで持ち上げる。
 持ち上げてから気が付いた。
 鳥の雄雌の見分け方を知らなかった。
 ゴメン。
 単なる嫌がらせになってしまったよ。


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