357 / 506
タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第357話:異議は認めん!
しおりを挟む飛べないし、歩くのも覚束ないプリン。
移動手段を考えなくてはならない。
移動手段というか、入れ場所?
実はテラよりもプリンの方が大きいので、俺のパーカーのフードだと窮屈なのだ。
テディベアリュックは背開きで、中に入ると簡単に出て来れなくなるので駄目だな。
あぁ、このテディベアリュックもお役御免か。
「綺羅、このテディベアリュックはどうする?」
肉を焼いている綺羅に声を掛ける。
なぜ焼き係?と思ったが、本人が楽しそうだから良いか。
「どうするも何も、あげた物ですから好きにしてください」
使えとは言わないのか。
似合う人にあげる……か?
「いくらリコでも、それは無理よ!」
目が合ったリコンスに速攻で拒否られた。
あぁ、一人だけ似合いそうな人が思い浮かんだ。
そしておそらく、喜んで受け取るだろう。
近々会いに行く必要もある。
赤毛のおさげ髪の少女?を思い浮かべながら、インベントリにテディベアリュックを仕舞った。
『早く食べろ』『冷めると味が落ちる』『少し醤油が焦げた所が美味いぞ』『熱いうちならバターを足すのも有りだ』『馬鹿野郎、バターで誤魔化さなくても美味いぞ!』『そこは個人の好みだ』
ジルドが持って来たのは、焼き魔物玉蜀黍だった。
うるせぇ。
トウモロコシピーラーが無いので、包丁で削ぐか魔法で削いで貰うか、さてどうするか。
<おや、魔物玉蜀黍だね。1本貰っても良いかい?>
小狼姿のリルだ。
美食家のリルが欲しがるのだから、魔物玉蜀黍は本当に美味しいのだろう。
「良いけど、芯から実を外そうか?」
<いや、玉蜀黍はこのまま囓るのが1番美味しいのだよ>
そうなのか!良い事を聞いた。
魔物玉蜀黍を囓る。
美っ味!!
え?何コレ。玉蜀黍の味が濃いし、焼き加減も最高だし、醤油の加減もバッチリだ。
玉蜀黍の言うとおりに調理すると、本当に美味しく出来るのか。
味付けのタイミングとか、最良の火加減とか、焼かれてる側にしか判らないよな。
うるせぇとか思ってすみませんでした。
いや、でもやっぱり、うるさいものはうるさいな。
そして、一口食べたら玉蜀黍は話さなくなった。
用意されていた料理を一通り食べ満足し、ほろ酔い気分でガルムに抱きついた。
傍から見ると、うつ伏せでガルムに埋もれているように見えるかもしれないが、俺としては抱きついている。
視界の隅で一升瓶が4本転がっている。
勿論、俺一人で飲んだわけではない。
「あ~アルコール回ると、甘い物食べたくなるよな。アイスとかプリンとか」
俺の腹辺りでくつろいでいたプリンがビクリと反応した。
<ぴぃぃ……>
あぁこれは、通訳無くても判った。
『食べるの?』だ。
「プリンの事じゃないからなぁ。世の中には卵と牛乳と砂糖で作るプリンという食べ物があってだな……」
「プリン食べたいな!」
お~い、ユズコ。
うちのプリンが怯えてるから、ちょっとお口にチャックしようか。
________________
まぁ、そうなりますよね、プリンw
228
お気に入りに追加
1,422
あなたにおすすめの小説
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~
土偶の友
ファンタジー
サクヤは目が覚めると森の中にいた。
しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。
虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。
歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。
それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。
9/28~10/6 までHOTランキング1位!
5/22に2巻が発売します!
それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる