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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第353話:名前
しおりを挟むほわっほわの羽毛に包まれた凶悪な顔の雛。
本物の雛のように、羽毛が濡れて地肌が見えたグロテスクな姿じゃ無いのが救いだ。
鶏の雛のような可愛い姿を、ちょっとだけ期待していた。
すまん。嘘だ。
実は、かなり期待していた。
いやでも、この目つきの悪い姿も愛嬌があって、可愛い気もしてきたな。
「プリン?本当にプリンで良いのか?」
生まれたばかりの雛に掛ける第一声としては間違っている気もするが、まず確認しないと落ち着かない。
今からでも楽とか天とかゴールデンとかに変えても良いぞ?
真名が変えられなくても、あだ名として違う名が付けられる……かもしれないし。
<ぴぃ!>
んん?鳴いた?
いや、鳥が鳴くのは当たり前なのだが。え?フレースヴェルグは話さないで鳴くの?
<プリンという名が殊の外、気に入っておるようだの>
ガルムが言う。
殊の外ってどういう意味だっけ?案外?意外と?
<びぴぃ!>
おぉ?また鳴いた。
<ふむ。それはすまんな。主よ。殊の外ではなく、凄く気に入っているそうだ>
ガルムが自分の発言を訂正する。
そうか。プリンは、プリンが気に入ってるのか。
この世界にもプリンって有るのかな。有るだろうな。ややこしくなりそうだ。
よし。プリンの誕生祝いに、クランハウスに戻ったら、電子レンジで簡単プリンを作ってやろう。
最初にフレースヴェルグの卵を使って作ろうとしたのは、ちゃんとした作り方のバケツプリンだ。
いや、そもそも普通のプリンは、それほど難しいお菓子ではないよな。
「孵化おめでとう、プリン。これからは仲間だね」
手を伸ばして頭を撫でる。
気持ち良さそうに目を細める姿は、普通に可愛いと思う。
撫で終わると、プリンは体を動かして卵を倒した。
卵は上半分しか壊されておらず、まだ卵の中に入っていたのだ。
倒れた卵から這い出し、羽を広げた。伸びをしているのかもしれない。
しかし、足太いな!!
「プリン孵化おめでとーう!フゥー!!」
ミロが叫ぶと、皆が「おめでとう!」やら「お疲れ様!」やら叫んで返す。
順番に見に来て、全員スクショを撮っていった。
まぁ、どうやら初の魔物らしいので、思う存分撮ってくれ。
名付けで色が変わるのか、誰か検討してくれないかな。
ボスドロだから、ここにいるメンバーには無理って事だけは確定だがな。残念。
「あのぉ、この卵の殻ってどうするつもりです?」
斗苫斗的が遠慮気味に声を掛けてきた。
「どう?……いや、別に。テラのは綺麗だったから部屋に飾ってあるけど、プリンのは普通の卵の殻だしなぁ」
プリンを作る時の器にでもするか?丈夫そうだし。
「あの、一欠片で良いのでください!」
頭を下げられた。
いつも以上に丁寧な言葉だと思ったら、卵の殻が欲しかったのか。
「む!狡いぞトマト!」
爺さんが叫ぶ。
「トマトじゃないっていつも言ってるじゃんか!」
いや、斗苫斗的よ。それはしょうがないと思うぞ。
「苫小牧!苫小牧と本名から付けたの!」
えっと、個人情報じゃね?いや、本人がバラしてるから良いのか?
________________
5と0の付く日の前日は、楽○イーグルスをとても応援しますw
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