350 / 506
タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第350話:魔力供給します!俺じゃないケド
しおりを挟む「では、いきま~す」
両手で卵を持って顔の前に持ち上げたオーベが宣言する。
あれ?って顔で首を傾げたオーベが、そのままフラリと後ろへ倒れた。
「最初は遠慮してたくせに~」
どうやら魔力を吸っても怒られないと判った瞬間に、一気に吸われたようだ。
オーベの手から、ジルドが卵を取り上げる。
「加減、間違うなよ」
一度卵を脅してから、目を閉じ魔力を注ぎ始める。
カッと目を見開いたと思ったら「ユズコ!」と名前を呼ぶのと同時に、卵を放り投げていた。
「急にくるよね~」
MP回復ポーションを自分で飲みながら、ジルドにも差し出しているオーベ。
「テラの時よりも下手だな」
受け取ったポーションの封を開けながらジルドが答える。
<彼奴は魔力を吸い慣れておらんからの>
ガルムが会話に参加している。
『アヤツ』とは、プリンの事かな?
どうやら俺がログオフしている間、プリンはガルムからも殆ど魔力を吸わなかったらしい。
ガルムの言う『殆ど』だから、俺なら魔力枯渇してそうなレベルだろうけど。
テラを10とするなら、プリンは3ほどだったらしい。
テラ、孵化率奇跡のドラゴン種ドラゴネットだったな。
あ、ユズコが無言で後ろへ倒れた。
バタンって感じで倒れたけど、頭大丈夫か?
いや、ぶつけてないかって意味だからな。
倒れたユズコは、卵を胸の所でしっかりと抱えている。
落とさないようにしてくれたようだ。
さすがユズコだな。
そんなユズコから、凄く嫌な顔をしながら卵を持ち上げたのは咲樹だ。
「私は皆ほど優しくないの。やり過ぎたら地面に叩きつけるからな」
後半はドスが効いている。高い女性の声のはずなのに、現実の咲樹が脳裏に浮かんだ。
あまりうちの子をいじめないでください。
やはり咲樹の魔力は桁違いのようで、一人で10分近く魔力を流していた。
倒れる事もなく、静かに横に座るレイに卵を渡す。
「やっとコツを掴んだのかしら?」
ウフフと笑ってMP回復ポーションの封を開けているが、脅したからじゃないか?
「何してんの?面白い事?オレも入れてやってよ~」
レイが魔力を流し始める前に、ミロが寄って来た。
「召喚獣は喚び出している間も魔力消費しますか?」
ミロに卵を渡しながらレイが聞く。
「いや、1回喚んじゃったら魔力は要らないけど?何で?」
「それならば、多少魔力吸われても大丈夫ですね」
レイが自分の横にミロを座らせた。
「それはフレースヴェルグの卵です。孵化させるのに魔力を供給しているので、協力してくださいね」
ニッコリと笑って、ミロの肩を叩くレイ。
「あ、はい」
思わずといった感じで返事をするミロ。
「はい、魔力流してください」
「え?」
「魔力です」
「あ、はい?」
首を傾げながらも素直に魔力を流したミロは、その後すぐに卵を落とした。
うええぇぇぇぇええ!?
ちょ、ミロ!?本人も硬直しているし、色々大丈夫か?
あ、卵は無事だった。
予想していたのか、レイが下にクッションを置いていたよ。
あれ?鳥兜と管狐と御狐様が揃って側に寄って来たぞ。
あぁ、ミロを心配して……?通り過ぎたな。
卵をペタペタ触って、満足気に戻って行った。
え?何だったのだろう。
「オレの心配はしないのかよ!相変わらず好奇心旺盛だな!」
復活したミロが、去って行った召喚獣達をちょっと哀しい目で見ていた。
________________
あ、あれ?孵化しなかった(・_・;
応援ありがとうございます!
134
お気に入りに追加
1,000
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる