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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第347話:そういう星の下
しおりを挟む「このパリパリなチーズ、何が違うんですか?」
レンチンチーズを食べながら斗苫斗的が聞いてくる。
実は、レンチンチーズは普通のスライスチーズととろけるチーズでは出来上がりが大分違う。
普通チーズは少し膨らんで焼けるが、とろけるチーズの方は網目模様のようになるのだ。
クッキングシートに並べてレンジで1分ちょっとチンするだけなので、うちでは定番のツマミである。
焼き上がってもすぐに食べてはいけない。
少し時間を置かないとパリッとならないのだ。
「へぇ、現実でやってみよう」
斗苫斗的が呟いていたので、W数は高く設定するようにアドバイスしておいた。
「クラーケンのお刺身です」
レイが刺身を持ってやって来た。
俺が包丁で切るより、レイが剣術で切った方が刺身が美味いという驚きの事実。
レイが俺の隣に座る。
「終わったのか?」
「はい。僕は切る係なので。後でヴィンがお肉を出したら、また切りますね」
にこやかに言われる。
あ~、あったな。大量の肉が。
リッチブルを消費する為のバーベキューだったはずなのに、なぜかクラーケンが主役になってるよ。
初めての食材の方が主役になるのはしょうがないけどさ。
「リッチブルも今のうちにタレに漬けておくか?」
レイに聞くと、首を傾げられた。
「どうでしょう?焼く時に塩胡椒でも良い気もしますが」
確かに。
「シアラに聞こう!」
突然立ち上がったリコンスがシアラの元へ走って行った。
シアラは美食家でスキル[料理]持ちだから、1番正しい選択かもしれないな。
何やら会話した後、凄い勢いでシアラが歩いて来る。
効果音を付けるなら『ズンズン』だ。
ちょっと怖い。人狼だし。
「リッチブルが山程あるって本当!?」
咄嗟にレイが俺を背中に庇う程の迫力だ。ガルムの体もピクリと反応する。
「シアラ!!」
急いで駆け寄って来たリイドが、シアラの後頭部をバチコーンと叩いていた。
色々気苦労が多そうである。
いるよね、そういう星の下に生まれちゃう人。
弟はリコンスだし、嫁はシアラか。
持っていたリッチブルを全部出そうとしたら、リコンスとリイドに止められた。
全種類を少量ずつと言われた。
大量でも良いのに。
カルビ、ロース、ヒレ、サーロイン、ランプ、タン、ハラミ、テール。
テール?前はウィンドウの画面に入りきっていなかったのか?気付かなかったよ。
それぞれを1~10キロずつ、約1頭分位出していたのだが、最後のテールで固まってしまった。
「シアラ、テールだけは全部出しても良いか?」
焼肉で消費できない肉は、死蔵される気がする。
「良いよ!」
二つ返事が帰ってきた。
横でリコンスがアワアワしてるけど、気にしない。
そもそもテールは他よりも少ないから大丈夫だぞ。
「え?これってどうしたら集まる量?」
テールの山を前に、シアラが呟く。
「群れ3つだな」
俺は見てないけど。
「一群れに何頭いたのよ、これ」
シアラがおかしな事を言う。
「リッチブルの群れ3つだから、全部リッチブルに決まっているだろ」
何を言っているのだか。
「だから、一群れ全部リッチブルとかおかしいってこの前説明したよね!?」
リコンスに怒られた。
あぁ、そういえば言われた気もする。
すっかり忘れてたよ。
________________
レンチンチーズ。電子レンジは600W以上で1分~1分30秒です。
リッチブル約100頭(3群れ)
1頭が1部位ドロップ。8部位あるので1部位につき約12頭分。
テールは1頭1.5キロなので、全量18キロですw
誤字で『スライムチーズ』とありましたw
応援ありがとうございます!
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