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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ

第341話:気にしてはいけない……のか?

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「蛸の足だな」
「蛸の足ですね」
「シロナガスクジラくらいあるがな」

 テラとムンドのを前に、俺とレイとジルドは立ちすくんでいた。
 足だけで25~6メートルある蛸をどうやって狩ったのだろう?
 特にテラ。
 いや、気にしたら負けだ。

「スゲェ、蛸の足だよな?」
「タコ焼き何個作れっかな?」
「え!?全長何メートルの蛸だったわけ?」
「クラーケン!?『むつきしま』にいたのかよ!!」

 先程まであまり居なかったはずの海水浴客が、いつの間にか増えていた。
 まぁ小山の様な物体が水平線から近付いて来れば、何事かと見に来るよな。
 俺も逆の立場だったら、確実に野次馬しに行くわ。
 どこから見えていたのだろうか。
 明らかに海辺にそぐわない格好の者も多い。

<ただいま~!>
 蛸の足の影から、スポーンとテラが飛び出して来た。
「おかえり。無事で何よりだ」
 俺の笑顔が引き攣ったのは、しょうがないよな?
 蛸の足は、10メートル位の大きさのムンドが頭に載せて運んでいる。
 ムンド、泳げたのか。
 でも今回だけは、空から帰って来て欲しかった!!
 そうしたら、ここまでは目立たなかったし、さっさとインベントリへ仕舞えたのに!

 ムンドは体をしならせて蛸の足を浜辺へ打ち上げると、シュルルンといつもの15センチサイズへと変化した。
<おれ!頑張った!巻き付いて動き止めたら、テラがドカーンって!な!!>
 ムンドがテラの横にフワフワ?フラフラ?と浮いている。
<ムンドと一緒に倒したの~!ね~!!>
 うん。さすが戦闘狂バトルジャンキー。共闘して凄く仲良くなったな。
 ドカーンが気になったが、聞かない事にした。


 蛸って、どうやって食べるのが正解なのだろう?
 自宅では、酢蛸しか食べない。
 あ、あとごくまれに刺身。
 タコ焼きでさえ作った事の無い俺に、ハードルの高い食材きたなぁ。
 そうだ!『しきしま』のタコ焼き屋台に押しつ……お裾分けしよう。
 いつも無料タダで貰ってるからな。
 良いお返しだよな。
 それから……

「これ、配っても良いよな?」
 横に立つレイとジルドにそっと呟く。
 視線は野次馬ギャラリー
「ただ焼いて食べるだけなら、スキルが無くても出来ますからね」
「ムンドが大きくなって一飲ひとのみってのもありだぞ?」
 レイは賛成、ジルドは反対……なのかな?

「ムンドは最近、調理した物しか食わないぞ。あぁ、後は畑の野菜だな」
 うちの子達は、最初は俺が居ない間に外で狩りをして肉とか食べていたのだが、いつの間にかマジックボックス内に仕舞われるようになった。
 代わりに料理が減っているのだ。
 勿論、従魔が食べる用に入れてあるのだから構わないのだが、量が足りているのか不安になる。

 あれ?そういえば、キッチンの食材が使っても使ってもいつも大量にあるな。
 従魔のご飯に1番使うのだから、俺が買うべきだよな!
 今更だけど気付いたからには、ちゃんとしなければ!とレイに訴えたら「クランとして年間契約しちゃってますからね。変えられませんよ」と一蹴された。

 わざわざ買いに行かなくても、契約したマジックボックス内の材料が、ある一定量減ると勝手に補充されるそうだ。
 何それ、現実リアルに欲しい。
【sechs(ゼクス)】が契約しているのは、『米、卵、チーズ、ウインナー各種、サラダチキン、豆乳、りんご、ホットケーキミックス、追いがつおツユ他調味料』だ。
 かたより過ぎだろう……。


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