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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第338話:満足ですか、そうですか
しおりを挟む楽しそうな従魔達を温かい目で見守っていたら、テラがパタパタと飛んで来た。
<主~!卵っていつ生まれるの~?>
テラが俺の手元のテディベアリュックの前に着地する。ガルムの上なのでテディベアは背負っておらず、前に持っていた。
卵っていつ生まれる……言葉として微妙な言い回しだけど、意味が判るからまぁ良いか。
「今回はテラの時みたいに魔力が吸われる事が全然無いからなぁ。しばらく掛かるかもな。レイの八咫烏の卵の方が先に孵化するかもしれないなぁ」
<そうなんだ~>
おや?テラがちょっとしょんぼりしているな。
「どうした?」
<早く一緒にお空飛びたいな~>
テラがテディベアの頭をポンポンとする。
そうか。
ヨミとシズカが兎で、ガルムとリルとユキが犬系、スピネルは猫。空は飛べないな。
ムンドは一応飛べるけど、仲良く遊ぶタイプでは無い……かな?
「それにしても、なぜ全然魔力吸われないのか不思議だよな」
テディベアを両手で持ち上げる。
傍から見たら、ヌイグルミと戯れてるようにしか見えないよなぁと思ったけど、気にしない。気にしないったら、気にしない。
<萎縮しておるのだろうな>
「え?」
ガルムの突然の指摘に、一瞬固まった。
萎縮してる?なぜ?
「本能が止めるのかもしれんな。ヴィンから魔力を奪ったら周りが怖いぞってな」
はい!?
何を言ってるのかな?ジルドさん。
「確かに、卵から怯えている雰囲気は伝わってきますよね」
マジか!!
レイまで言うのなら、ジルドの気のせいってわけじゃ無いよな。
「ここはちょっと強い子にする為に、リルの魔力でも与えた方が良いのだろうか?」
首を傾げ、思わずテディベアに問い掛けてしまう。
目線の高さに持っているテディベアは、当たり前だが返事をしない。
「ちょ、可愛っ」
「天然最強」
双子が何か言っているから視線を向けたら、二人とも両手で顔を覆っていた。
ちゃんと前を向いて歩いた方が良いぞ、お前等。
<精神的に強くしたいのなら、ヨミが1番だろうのう>
ガルムがアドバイスをくれる。
何となく気付いてはいたが、やはりヨミがヒエラルキー2番目か。
1番は勿論ガルムだ。
底辺は……ムンドかなぁ。
実際の強さは関係ないのが、うちの従魔のヒエラルキー。
「ヨミ、フレースヴェルグの卵に魔力を分けてくれるか?」
<きゅ!>
ガルムの前を元気に跳んでいたヨミは、俺に呼ばれてポーンと跳び上がった。
あれ?前はワンジャンプでガルムの背中に跳び乗れたっけ?
ま、まぁ良いか。
ヨミがスッと前足を上げたので、テディベアの背中のファスナーを開ける。
露わになった卵にヨミの前足が触れる。
気のせいかもしれないけど、ちょっと卵が温かくなった?ような?
ん?
あ!馬鹿者!
ファスナーの隙間から、15センチのムンドが顔を突っ込んでいる!
ああああぁぁぁ!
ヨミちゃん!卵にムンドを押し付けないの!
ヨミの魔力なのか、ムンドの魔力なのか、とにかく卵はたっぷりの魔力を吸収したようだ。
笑いながら見ていたリルが言っていたので間違いない。
<きゅぅ……>
やりきった!みたいな顔してるけど、後半はムンドを押さえつけていただけだよな?ヨミ。
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