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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第333話:違和感と言うか……ねぇ?
しおりを挟む新しい街『南の街』に俺達は来ていた。
なぜかと言うと、爺さんと綺羅がこの街に居るからだ。
爺さんにスピネルのチェーンをお願いしようとメッセージしたら、『南の街』まで来ればその場で作るぞ!と返事が来たのだ。
全然遠ければ諦めるのだが、俺達が居た『南東の街』と『南の街』は隣である。
それならば、といそいそと素直に移動した。
しかし爺さんと綺羅だけで『真ん中の街』から『南の街』へ移動したのだろうか?
街の入口では、やはり淡々とした手続きだった。
待ち合わせ場所の噴水広場には、まだ二人は来ていないようだった。
ベンチに座ると、その横にガルムがお座りする。
ガルムの背中に居たリルとスピネルが滑り落ちているが、楽しそうだからまぁ良いか。
シズカとユキは、八咫烏の卵の件があるからか、レイの傍に居る。
ヨミは俺の胸元、テラはパーカーのフードの中だ。
フレースヴェルグの卵入りのテディベアリュックは、俺の膝の上にある。
そしてムンドはリルの前足に嵌っている。
罰だったはずなのに、どうやら気に入ってしまったようだ。
リルが小声で<何でだよ!>とツッコミを入れてた。
兄弟仲が宜しくて何よりですな。
ジルドは、ガルムの背中を滑り台にして遊んでいるリルとスピネルを背中に戻す係だ。
完全に休日の公園のお父さんだな。
「ガルム、滑り台にされてるけど良いのか?」
<別に主の邪魔にならぬのならかまわん>
相変わらずの漢前だな!
横に座っているガルムに寄り掛かって、モフモフの幸せを満喫した。
「え?ガルムとヴィンはデート中ですか?」
ガルムに寄り掛かって目を閉じていたら、お馬鹿さんな台詞が聞こえてきた。
「それならジルドさんは子守中?」
「それじゃレイは子育て中になるのかのう」
目を開けると、一緒にいるのが違和感しかない三人が並んでいた。
天使の綺羅と、ハーフリングの斗苫斗的と、多分人族の爺さん。
生産職という共通点を知っていても、どこで知り合ったのか気になるし、予想もつかない。
斗苫斗的だけ現実で年上っぽいしな。
見た目年齢は、1番若いけどな!
「斗苫斗的も合流してたのか」
「はい。非常識な素材の検証に呼ばれました」
にこやかに毒を吐いてきたな。
いや、本人は毒と思ってないのか。
もしかしたら綺羅が言った『トンデモ素材』を丁寧に言い直しているつもりなのか?
「ヴィンさんは更にフレースヴェルグの卵も手に入れたんですよね」
「あぁ、この中に入っている」
膝の上のテディベアリュックを持ち上げて見せる。
「なるほど!とうとう諦めてテディベアまで持って歩くようになったのかと思ってたら、卵入れだったんですね」
ん?やっぱり毒吐きしてる?諦めてって何?
「それ、綺羅の作品ですよね?テディベアも可愛いけど、ウサギも可愛いんですよ!見ました?」
いや、見たけどね。
かなり可愛くて27歳の男が持つには抵抗のあるものだったのだが……持たせようとしてないか?斗苫斗的よ。
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