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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第327話:粋(いき)だね
しおりを挟むスピネルを従魔にしてしまった為、一旦クランハウスへ戻る事にした。
ギルドへの登録と、従魔の証であるクラン証を入手しなくてはならないからな。
あ、爺さんは今『むつきしま』に居るのか。
鎖は後からで良いか。
あぁ!綺羅も『むつきしま』に居るのか!
シズカ用の八咫烏の卵入れを作成依頼しようと思ってたのだが、駄目だな。
これは急を要するから、待てないよな。
どこか近くの街に行って、そこで買うか。
そのままクランハウスへ戻ろう。
1番近い街は『南東の街』になるらしい。
ジルド曰く「1番海の街らしい」との事。
海の家や漁師が?と期待したが、そこまで海に近くはないそうだ。
海で遊ぶ為の玩具が売っているそうで……浮き輪とかゴムボートとかか?
まぁ、とにかく行ってみる事にした。
門番の淡々とした対応が逆に気持ち悪い。
いかにトラブルに遭っていたかって事だな。
「数が合いませんね。少ないのではなく、多いです」
そりゃそうだ。
「この猫は、さっき従魔になった。その登録の為にこの街に来た」
俺の説明に門番は「なるほど」と頷くと、1人の衛兵を呼ぶ。
「登録が証明されてないと自由に動けません。まずはこの者と一緒に冒険者ギルドへ行くように」
呼ばれた衛兵が俺と目が合うと黙礼してくる。
統率された軍って感じで格好良いな。
「こちらです」
冒険者ギルドの場所を知っているかなどの質問もなく、衛兵が先に立って歩き出す。
横柄な感じもなく、本当に仕事という感じだ。
ちょっとした悪戯心もあって、話し掛けてみる。
「従魔の卵を入れるものが欲しいのだが、どこで売っている?」
チラリと俺を見て、また前を向いた。
無視か!?と思ったら、そのまま返事をしてきた。
「卵の大きさか、判っていれば種族は?」
仕事中だから、馴れ馴れしく話せないのかもしれない。
「八咫烏の卵だな。シズカ…月兎が持てるようにしたい」
衛兵が今度はシズカをチラリと見る。
「冒険者ギルドの近くに雑貨屋が何軒かある」
それ以上は贔屓になるのか、答えてくれなかった。
冒険者ギルドに到着して、衛兵に見守られながらの登録になった。
ここまで厳しいのは初めてだ。
それだけ『むつきしま』の規則がしっかりしているのだろう。
ギルドカードを受け取り、真面目に虫眼鏡の購入を考えた。
字が小さい!
ギルドを出た所で衛兵が軽く頭を下げてくる。
自分の仕事は終わったので、門へ戻るのだろう。
姿勢を直す寸前、俺にだけ聞こえる小声で「お勧めは【桜屋】です」と呟いた。
微かに口元が笑っている。
敢えてお礼を言わず、笑顔で手を振った。
次の行き先が決まった。
彼お勧めの【桜屋】で、シズカの為の八咫烏の卵入れを買おう。
オパールはレイのペットだが、シズカは俺の従魔だからな。
シズカの物は俺が買う。
今度こそ、金を払う!
あ、虫眼鏡も売っているか見てみよう。
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