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どこかに話すモフモフがいるらしいよ!探そう!!
第319話:ある日森の中
しおりを挟む公道を逸れて森の中を歩く。
背中には、テディベアリュック。
その影響だろうか。
俺が童謡の『森のくまさん』を歌いながら歩いていたら、チビッ子達も覚えて一緒に歌い出した。
ちょっとガルムの渋い声で歌って欲しいと思ったのはナイショだ。
「逃げろと言ったり、追い掛けてきたり、この熊って矛盾凄いよな」
フと昔から思っていた事をポツリと呟く。
「原曲と歌詞が全然違うからな」
俺の独り言を拾ったジルドが同じくポツリと呟く。
この男は、どうして毎回俺の好奇心をビシバシ刺激してくれるのか。
「原曲?」
「英語の歌詞は、銃も持ってないのに逃げなくて良いのか?と熊が聞いてきて、その後追いかけて来るんだよ」
「ドS!!」
「木に飛びついて助かるって歌詞だが、実際の熊は木登り得意だから無理だろうな」
うわぁお。
「しかも、地域によっては後日、敷物になった熊とご対面するらしいぞ」
え、何そのブラックな歌詞。
チビッ子達が歌っている歌詞が、日本のもので良かったよ。
「そろそろ休憩にしないと、ヴィンのEPが危なくないですか?」
話が盛り上がったせいで意外と歩いていたようだ。
ウィンドウを開けて確認すると、レイの言ったとおりEPの残りが20%程になっている。
「危なっ!レイ、ありがとうな」
最近はちゃんと自力で気付くのに、レイが一緒だと気が緩む傾向があるな。
気を付けよう。
「オヤツ休憩にするから、良さそうな場所を探してくれ」
俺の言葉に、テラが木の上まで飛び上がる。
<ちょっと先に河原があるよ~>
それはとても魅力的な場所だ!
<この辺は危険な魔獣は居らんから、どこで休憩しても大丈夫だ>
<ユキでも簡単に勝てる相手だからね>
ガルムとリルの言う危険がどの程度なのか疑問なのですけど!?
「……河原へ向かおうか」
信用しているからな!
驚くほどアッサリ河原に着きました。
森に入ってからずっと、ジルドやレイが何かの気配に気付いた素振りを見せるのに、何も起きずに終わっていたが……もしかしてうちの子達にビビって、魔獣達が逃げているとか?
チビッ子達が大合唱しているから、うるさくて逃げているのかと思っていたが、普通逆だよな。
動物の熊じゃないのだから、こちらの物音に驚いて逃げるわけがなかった。
<この川は普通の魚しかいないので、入って遊べるよ>
リルが俺の足元に来て、尻尾をブンブン振っている。
小狼姿のままなので、もしや川で遊ぶ気満々なのか?
<お魚捕まえたいの!>
<お魚食べたいな~>
<きゅきゅ!>
えぇ~!チビッ子組全員遊びたいのに反対したら、俺がひどい人に見えるだろ。
「ガルム、川の深さとかは大丈夫そう?」
困った時の執事さん頼りだ。
<真ん中まで行かなければ大丈夫だろう。ヨミは大きいサイズにならなければ駄目だぞ>
<きゅ!>
ガルムの言葉を聞いて、ヨミが中型犬サイズに変化する。
水辺だから、間違って雷出さないでね、ヨミちゃん。
皆、感電しちゃうからね。
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※この後、第321話から3話ほど、ほんわりじゃない内容になります
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