ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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どこかに話すモフモフがいるらしいよ!探そう!!

第306話:いちじゅう……いっぱい!

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「うぅ……まだ時間はいっぱいあるのに」
 後ろ髪をグイグイ引かれながら街を後にする。
「ですが、あの街で時間を使ってしまうと、ログアウトの為に違う街に寄らなければいけなくなりますよ?じっくり探索したいなら止めませんけど、今回の目標は『むつきしま』ですよね?」
 あぁ~!!正論過ぎる!

「それか~街で遊んだ後、ムンドに乗ってボスエリアまでひとっ飛びするかだね~」
 オーベが提案してくる。
 新しい土地をムンドでひとっ飛びは、ちょっと…いや、大分勿体無い気がする。
 特に綺羅は、これから先は転移陣でしか移動しなさそうだしな。

「普通に行こう。従魔達も歩きたいだろうし」
 それじゃ行きますか、と歩き出そうとしたら足が浮いた。
 大型に戻ったリルが俺の服の襟元を咥えて持ち上げたのだ。
「ちょっ!リル!!」
 俺の抗議の声は完全に無視されて、ガルムの上にポスンと落とされた。
<やはりあるじはそこに居ないとだね>
 満足気に頷かれた。


 俺より体力の無い綺羅を歩かせるのは心苦しいので、一緒に乗るように誘ったが拒否られた。
 いわく「畏れ多い」そうだ。
 なんじゃそりゃ。
 そして、目的地に向かって歩いているだけのはずなのに、たまにチビッ子共がワー!!とどこかに走って行って、ドロップ品を持って帰って来る。
 その度にリコンスと綺羅がビクリとするから、レベルアップしていると思われる。
 意図しないアナウンスは驚くよな。

 綺羅が予想外に元気に歩いている。
「レベルが上がったからですね!」
 テンション高く言われた。
『いつきしま』へ入ってから街まで歩くのにバテてたのにな。
 街を出てからどれだけレベル上がったのだろうか。
 聞くのが怖いから、聞かない。


 またチビッ子達がワー!!と走って行ったら、綺羅とリコンスが頭を抱えてしゃがみ込む。
「うきゃー!!何回鳴るのよ!」
「大丈夫だ、リコンス。あまりにレベルアップすると十の位が略されるから、例えば40から88になったのなら12回だな」
「普通そんなに一気に上がんない!!」

 おや、俺は悪友達とのバトルで経験済みだったから、何も疑問に思わなかった。
 それに、さすがに今はそれほど一気に上がらないからな。
 いや、4回鳴っているのが4上がったのか、13上がったのか40上がったのか、もうチェックもしてないけど。


<主よ、荷物が持ちきれないのだがどうしたら良いかい?>
 おや、リルからの念話だ。
 持ちきれない荷物……リルとヨミとテラとシズカ、今回はユキも行っているのに?
<お肉がいっぱい~!>
<きゅ!きゅ!>
<お肉がね、美味しそうだよ!すごいいっぱいあるよ!>
<これは煮ても焼いてもい肉なのじゃ>
 皆のテンションが高い。

「あ~、チビッ子達が美味しい肉をたくさんドロップしたらしい」
<美味しい肉!?>
 俺の言葉に1番に反応したのは、寝ていたはずのムンドだ。
「この辺に居る美味しい肉をドロップする魔獣モンスターと言えば、リッチブル成金雄牛ですかね」
「何か豚のもいなかったっけ~?」
「確か豚は『びぼうしょく街』の近くじゃなかったかしら?」
 咲樹から新たな街の名前が出て来ましたよ。


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