ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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どこかに話すモフモフがいるらしいよ!探そう!!

第305話:何ですと!?なぜそうなる!!

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 話をしていた部屋を出て街へと入る時、エアカーテンのような物を通過した。
 従魔も全員通るように言われたので、これが何かの認識システムなのだろう。
 街の中へ入ると、丁度普通の入口から皆が入って来るところだった。

「ヴィン!大丈夫でしたか?」
 レイが駆け寄って来る。
「別に取り調べとか尋問じゃなかったぞ。この街の魔獣モンスターとうちの従魔を区別するシステムを通っただけだ」
「そんなシステムがあるの~?」
「そう言われれば、この街のモフモフ率高いわね。1回しか来なかったから気付かなかったわ」
 オーベと咲樹が話に加わってきた。

「うちらに至っては、次の街を目指しちゃったのでここには寄ってないです」
 リイドが苦笑する。苦笑したよな?
「フクロウカフェ行きたい!」
 いや、勝手に行け、リコンス。
 街中は別行動で問題ないだろうが。


「こ、ここは!はここで披露するべきですよね!」
 何かひとりで納得している綺羅。
 周りを見て目をキラキラさせた後、小さくガッツポーズしている。
 嫌な予感がする。
 綺羅の顔がグリン!と俺の方へ向いた。
 ちょっとホラー映画っぽい動き。怖っ。

「新作です!」
 綺羅が俺の前に折り畳んだ服を差し出す。
 また動物パーカーか?着ぐるみか?
 とりあえず受け取って広げてみると……鳥?
 虹色に輝く羽がを飾っている。
 ワンピースの裾の両端は袖口と繋がっているが、ヒラヒラの裾はバンザイしても中が見える事は無いだろう。
 布の量が恐ろしい事になっている。

「馬鹿か!!」
 思わず叫ぶ。
 服を投げ捨てなかった俺を褒めてくれ。
 チュニックならギリギリセーフだが、これはどう見てもワンピースだ!
 お前、27歳の男に何を着せようとしている!?

「駄目ですか?」
「当たり前だろうが!」
 綺羅に返すと、何やらボソボソ呟いてから、隣にいたリコンスへ渡す。
「あげます」
「はあぁぁぁ!?」
 渡されたリコンスは、判りやす狼狽うろたえていた。


 綺羅のワンピースを着たリコンスが、クルクルと回りながら歩いている。
 虹色だった羽は、リコンスのものになったら橙から赤へとグラデーションになっている羽に変化していた。
 それぞれに似合う色に変化させたのか?
 凄いな、綺羅。

 リコンスがワンピースを受け取るまでかなり揉めていたが、上手くまとまって良かった。
 しかし、モフモフ天国で浮かれた俺が大人しくワンピースを着ると思った綺羅の思考が謎過ぎる。


 転移陣の為に冒険者ギルドへ行くだけ行って、すぐに出て来る。
「さて、これでこの街全部の転移陣が使えるようになりました。『むつきしま』へ向かいましょうか」
 レイがサラリと残酷な事を告げる。
 え?この天国を全然堪能せずに終わりですか?

「ヴィン~。一応転移出来るかリストの確認してみてね~」
 オーベに言われてリストを確認する。
 今は転移陣が使えないから全部グレー表示なのは当たり前だけど……
「街の広場が無い?」
 普通街の名前をクリックすると、選択肢に[入場門][噴水広場][冒険者ギルド]と出るのだが、この街には[噴水広場]が無い。

「リコには普通に有るわよ?」
 リコンスがリストを見せてくれる。
「テイマーだけの特別処置なんですかね」
 リイドが首を傾げながら言う。
 あぁ、テイマーはあのエアカーテンを通過しなきゃいけないからか。
 納得、納得。


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