ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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どこかに話すモフモフがいるらしいよ!探そう!!

第303話:色々舐めてた

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「え?ボス戦は?」
 『いつきしま』側で待っていた悪友達がキョトンした顔で俺達を見ていた。
 気持ちは解る。
 俺も同じだからだ。

 ボス戦のフィールドに入った瞬間、目の前が真っ白になったら全てが終わっていた。
 俺はボスの姿も確認出来なかったよ。
 ニーズヘッグが蛇なのか蜥蜴トカゲなのかドラゴンなのか、謎のまま終わった。
 そしてラタトスクがどれほど可愛くないリスなのかもな。

 目の前が真っ白になった原因は、リルの炎とヨミの雷の相乗効果だったらしい。
 そして更にムンドとテラの同時毒攻撃で、跡形も無く消滅していた。
 正直、どれが効いていたのかすら判らん。
 シズカを抱き上げる時間どころか、ガルムの陰に隠れる時間すらなかったからな。


「ボスを瞬殺って何!?」
 なぜか怒っているリコンス。
 楽できたから喜ぶところではないのか?
「え~と、これって普通じゃ」
「無いわよ!アンタさっきの話聞いてなかったの!?」
 綺羅がリコンスに怒鳴られた。
「2度目だし多少楽したいとは思ったけど、これじゃ完全に寄生プレイじゃない!」
 何かプライドを傷付けたようだ。
「次回は、従魔達に少し待つように言っておこうか?」
「そんな無駄はしなくて良いわよ!」
 怒られた。

 歩いている間、ひとりでプンスカ怒っていたリコンスだったが、時間が経って大分落ち着いたようだ。
「ヴィン、色々ありがとう」
 スススッと寄って来てお礼を言ってきた。
「どういたしまして」
 お前に悪意も敵意も無い事は解っているからな。
 だから従魔も無反応だったし。


 1番近くの街まで歩いて行く事にしたので、感覚的にはのんびりお散歩中。
 いつもはガルムの上の俺も、珍しく自力で歩いている。
 初夏の森の中、歩かないのは勿体ないだろう?
 心配性のレイからは反対されたが、周りを従魔が囲む事で許可された。

 はたから見たら、モフモフに囲まれて歩く俺はどうなのだろうか?
 リルは小狼姿だし、ムンドは俺の左手首にブレスレットのように収まっている。
 要は、ガルム以外はペットにしか見えないのだ。
 本当は最強の護衛に囲まれているのに!


「あ、あの、すみません。近くの街まであとどれくらいですか?」
 綺羅が手をあげて聞いてくる。
「あと30分位かしら?」
 咲樹の返答を聞いて「無理」と言いながら綺羅が倒れた。
「うわぁ!非戦闘職舐めてた~」
 綺羅を助け起こしながら、オーベが焦っていた。

 ちょっと道を外れて休憩する事にした。
 別にHPやEPがヤバイわけではないので、リルかガルムが綺羅を運べば良いだけなのだが、せっかくなのでオヤツタイムに突入。
 手持ちのオヤツを皆で出しあう。

 俺は定番のホットケーキ3種。
 咲樹はフィナンシェと紅茶も出した。
 オーベはねぎ味噌煎餅とワサビ煎餅。あと、卓袱台ちゃぶだいを出した。
 レイはロールケーキに魔石。
 魔石は従魔用だな。

 綺羅はお洒落なクッキー詰め合わせの缶を出した。
 リコンスはひと口サイズのチーズドッグ。
 オヤツ?一応オヤツか。飲みの時にいつもコイツが頼むから、ツマミの印象が強いが。
 そしてリイド。あんこ玉はわかる。オヤツだ。
 だが、その漬け物盛り合わせはオヤツか?
「お茶請けですよね?うちの定番ですが」
 毎回、甘いのとしょっぱいのを両方用意するらしい。

「じゃあ、渋茶も出そうか~」
 オーベが緑茶も出した。
 卓袱台だけじゃ狭くなり、レイが簡易テーブルを出した。
「ミスリル!?」
 リコンスとリイドが驚いていたが、華麗に無視された。


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