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どこかに話すモフモフがいるらしいよ!探そう!!
第293話:規格外がまだいたよ
しおりを挟むリコンスがレベル上げをしたいと言うので、パーティーを同盟で繋いで『commerce(コマース)』まで来た。
ほぼ何もせずにレベルが上がっていくリコンスを見て、「すみません、ホントすみません」と謝っていたのはリイドだ。
いや、こっちこそ戦闘狂達が瞬殺してすみません。
「えっと、一応リコは自分で戦う気もあったのよ?寄生プレイを狙ったわけじゃないからね!?」
さすがに一度も戦闘に参加せず街に着いてしまった時に、リコンスも謝ってきた。
いや、謝ってないか。
でもこれに関してはリコンスもリイドも悪くないので、謝る必要は無いな。
今回レイは同盟になっていない。
「僕より、と言うか【cinq(サンク)】よりヴィンの従魔の方が強いですから、同盟の意味がありません」と、苦笑された。
「いらっしゃ……新作有りますよ!」
綺羅の店に入ったら、挨拶もそこそこに新作を渡された。
「え?何これ、着ぐるみシリーズか?」
パーカーじゃないよな?
「レインコートです!」
ほぅ、黒いネズミのレインコートか。
色々アウトだろ、コレ。
しかもなぜレインコート?
「ヴィンさん『やつきしま』行くんですよね?スコールあるそうですよ!」
「いや、行かないし」
「え?猫狩り行くんですよね?」
「いや、行かないし。それに狩っちゃ駄目だろ」
猫に会いに行くからネズミなのか!
「じゃあ今日は何が欲しいんですか?」
なぜちょっとガッカリしてるのか、謎だ。
「『やつきしま』には行かないが、『むつきしま』には行こうと思ってな。水着を買いに来た」
黒ネズミのレインコートを返しながら言う。
せめて黒はやめてくれ。あそこの会社はマジで怖いからな。
「これ!咲樹さんの水着です!」
いや、咲樹は今回行かないけど!?
水着用のハンガーに掛かっているけど……布面積少ないな!紐?紐なのか?これは!
クロスしてる部分も多いし、現実なら一人で着られなさそうだ。
ウィンドウで選択ポチリだから着られるデザインだな。
エロゲかハーレム系の漫画に出てきそうな水着は、丁重にお断りした。
咲樹なら嬉々として着そうだが、俺が一緒に居たくない。
「……え?服飾師の綺羅よね?綺羅の作った服を返却するって馬鹿なの?」
今まで大人しかったリコンスが呆然と呟くのが聞こえてきた。
「あの紐が着たいのか?」
あれはメロンな咲樹だから似合うと思うのだがな。
いや、そういうアレな感じで需要があるのか?
「違うわよ!レインコートの方よ!アンタね!服飾師綺羅って、自分の好きな物を気まぐれで作るから滅多に手に入らないのよ!?」
え?そうなのか?服どころか、うちにあるクッションは、全て綺羅作だぞ、
「偶然自分が着られる服があったらラッキーで、皆即買いするのよ!!」
「えぇ?なぜそれほどの人気が?」
本人の前で失礼だが、素朴な疑問なのだ。
「付与されている性能が他と桁違いなのよ!」
リコンスの血圧が心配になる勢いで言われた。
「リコ、落ち着け。そちらの綺羅さんの作る服は、ジャケットでもオリハルコンの鎧並の防御力があるんです。鎧を着るのに向かない魔法職の人には垂涎の品ですね」
凄いな、綺羅。
「ただ、変な着用条件があったりするので……」
「変な?」
思わず綺羅を見る。
「変じゃないですよ!銀髪でストレートロングの男性エルフが着たら似合うだろうな~とか、角のある獣人に着て欲しいな~とか考えながら作ったら、それが品物に反映しちゃうだけですから!」
だけ?だけって言うか……
ん?あれ?それじゃあ、まさか
「あのウサギパーカーを俺が受け取らなかったら?」
「死蔵品でしたね。ヴィンさん専用服ですから」
良い笑顔でとんでもない事言いやがるな、コイツ。
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