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どこかに話すモフモフがいるらしいよ!探そう!!
第290話:常識的な非常識。又は非常識的な常識
しおりを挟む『リコンス見参!』
同僚もといリコンスから、たった1文だけのメールが届いた。
見参って、どこにだよ。
多分『しきしま』のどこかの街に着いたのだろうが……どこの街だか言われなければ、こっちからは行けない。
ネタなのかもしれないが、とりあえず放置決定だな。
返信のしようもない内容だしな!
皆との遊びが終わって歩いて来たガルムに抱きつく。
ガルムの胸の毛に埋もれて幸せを満喫していたら、またメールの受信が告げられた。
見たらまたリコンスからだ。
『従魔と遊んでないで、さっさと出て来いよ』
はいぃ?
見てるのか?見えるのか?どこから?
<主。家の前に変な女がいるのだけど、捕まえて良いのかい?>
いきなりリルから念話がきた。
変な女?まさか……
<あとね~慌てて走って来る鰐の人~>
鰐の人って何?テラさんや。
「とりあえず、お前が悪いと俺は思う」
正座しているリコンスを見て言う。
場所はクランハウスの中の俺の部屋。
リコンスの隣には、鰐の人であり、リコンスの現実兄がいる。
こちらは正座ではなく、普通に座っていた。
正座できる状態でないと言ったほうが正しいな。
「弟が本当にすみません。まさか天下の【sechs(ゼクス)】のクランハウスに特攻仕掛けるほど馬鹿だとは思っておりませんでした」
俺とリコンスの関係を知らなかった鰐の人は、【sechs(ゼクス)】のクランハウス前で腕を組み仁王立ちしている妹を見て、慌てて魔法で拘束しようとしたようだ。
それを見て、クランハウスに魔法攻撃しようとしていると誤解したムンドが彼に巻き付いても、しょうがないと俺は思う。
なのでムンドを責めてはいない。
しかし、巻き付きは攻撃には入らないのか?打撃とかも圧は掛かるらしいから、圧迫は範囲外?
とにかく手加減はしていたようで、どこも骨折していないしな。
まぁ、かなり体は痛いようだが……すまん。
「リコはちゃんと『見参』ってメールしたもん」
13歳の獣人リスだから違和感は無いのだが、中身を知っているからか、そこはかとなくムカつく。
「クランハウスの場所など教えていないのに、直接来ると思うわけないだろう?馬・鹿・メ・ガ・ネ・が」
座っているリコンスの額を指で何回も突く。
「馬鹿はお前だ!【sechs(ゼクス)】のクランハウスなんてな、その辺の異界人に聞けばいくらでもわかる……んだからね」
メガネに戻っていたリコンスは、途中で猫を被り直した。
しかし六人しかクラン員がいない弱小クランでも、クラン自体が有名だと色々情報が出回るのか。
弱小だけど有名とは、これ如何に。
「前線でも見掛けなくなったし、クランハウスも『とおきしま』から無くなったし、一時期掲示板も大騒ぎでしたから」
鰐の人が捕捉してくれる。
あれ?そう言えば……
「お兄さん、お名前をうかがっても?」
まだ名前も聞いていなかった。
「あ、すみません。ペルセ…じゃなかった、リコンスの兄のリイドと申します。リザードマンの鰐です」
「あ、はい。ヴィンと申します。いつも弟さんにはお世話になっております。ハーフリングです」
ここに名刺が無いのが不思議な挨拶を交わしてしまった。
社会人の哀しさよ。
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