上 下
289 / 506
どこかに話すモフモフがいるらしいよ!探そう!!

第289話:従魔の本気

しおりを挟む
 


 クランハウスの敷地内のへと遊びに来た。
 子供達用の滑り台とは別に、大きめの滑り台が増えている。
 ガルムは無理だが、白虎ユズコならいけそうだな。
 それに、今は見なくなった回転する丸いジャングルジムみたいな遊具も増えていた。
 完全に人間が遊ぶ用だよな?
 従魔用の遊具じゃなくなってるよな?

あるじよ、遊びたいのか?>
 あまりにもジッとみていたからか、ガルムに聞かれてしまった。
「いや、あの回転する遊具は皆どうやって遊ぶのかと思ってな」
 丸いジャングルジムを指差す。
<やってみせよう>
 なぜかガルムが得意満面で動き出した。


 危険!とても危険です、先生!
 皆が弾け飛んで行きます!!
 誘われたけど、とりあえず一度見てからと断っておいて良かった。

 まず、全員が思い思いの場所に掴まり、ぶら下がる。
 リルもムンドも、わざわざ小さいサイズになって参加している。
 そして全員が掴まったところで、ガルムが渾身の力で遊具を回転させた。

 ブォン!と風を切る音がして回転する遊具。
 現実リアルだったら、『絶対に真似しないで下さい』って注意書きが出そうだ。
 回転する遠心力に負けた者から、飛んで行く。
 他の遊具から離れて、これだけポツンと置かれている意味がやっと判ったよ。


 大体がリルとムンドの兄弟対決になるらしい。
 ムンドは手ではなく尻尾を絡めているし、リルは遊具に噛み付いているのだが、問題ないらしい。
 ヨミなどは不利らしく、一周する前に飛んで行っていた。
 兎の手は、物を掴むのには向いていない。尻尾も短いし、噛み付くのも駄目だったようだ。

<ヨミね、シズカより小さいからすぐ飛んでっちゃうの>
 そう言うシズカも、3番目に飛んで行ってたけどな。
 因みに2番目はユキだった。
 テラは小さくてもドラゴン種だった。
 握力凄いな~というのが、俺の感想である。

 今回はリルが最後まで残っていたが、それも遊具が止まる前に飛んで行った。
<ふふふ、主の前で無様な姿は見せられぬからな>
 ガルムが背筋を伸ばし、胸を張る。
 とりあえず抱きついてモフモフすれば良いのかな?

 全員が弾け飛んだ場合は、ガルムのらしい。
 いや、ホント、絶対に真似しないでくださいってテロップを常に出しておきたい。
 正しくない遊び方だよ!
 幻想世界ファンタジーワールド内だし、分別のある大人しかいないから許されてる使用方法だな。



「あれ、飛んで行っても柔らかい障壁があるので大丈夫ですよ」
 後から合流したレイが説明してくれる。
「結界が付与されていて、ある一定速度以上の物を衝撃吸収しながら受け止めるそうです。10メートルも飛ばないはずですよ」
 何それ、優秀すぎる。

 あ、飛んで行ったユズコが減速して地面に落ちた。
 白虎でリルに負けたから人型で再戦していたのだが、やはり負けたようだ。
みな元気じゃのう。わらわは疲れてしもうた>
 フラフラしながらユキが寄って来た。
 モンスターにも男女差ってあるのかな?
 どちらかというと、種族差かな。

「お疲れ様」
 笑いながら頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細めて顔を擦り寄せてくる。
 落ち着いたところで、レイがユキに皿に盛られた野菜を出してあげた。
 二人と一匹で、楽しそうに遊ぶ従魔達を見ながらのんびりとティータイムを楽しんだ。



________________
丸いジャングルジムは、正式名称を『グローブジャングル』というそうです。
三半規管が弱いので、子供の頃から苦手ですw
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とんでもないモノを招いてしまった~聖女は召喚した世界で遊ぶ~

こもろう
ファンタジー
ストルト王国が国内に発生する瘴気を浄化させるために異世界から聖女を召喚した。 召喚されたのは二人の少女。一人は朗らかな美少女。もう一人は陰気な不細工少女。 美少女にのみ浄化の力があったため、不細工な方の少女は王宮から追い出してしまう。 そして美少女を懐柔しようとするが……

【完結】聖女と結婚するのに婚約者の姉が邪魔!?姉は精霊の愛し子ですよ?

つくも茄子
ファンタジー
聖女と恋に落ちた王太子が姉を捨てた。 正式な婚約者である姉が邪魔になった模様。 姉を邪魔者扱いするのは王太子だけではない。 王家を始め、王国中が姉を排除し始めた。 ふざけんな!!!   姉は、ただの公爵令嬢じゃない! 「精霊の愛し子」だ! 国を繁栄させる存在だ! 怒り狂っているのは精霊達も同じ。 特に王太子! お前は姉と「約束」してるだろ! 何を勝手に反故してる! 「約束」という名の「契約」を破っておいてタダで済むとでも? 他サイトにも公開中

大好きな母と縁を切りました。

むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。 領地争いで父が戦死。 それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。 けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。 毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。 けれどこの婚約はとても酷いものだった。 そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。 そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……

伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃんでした。 実際に逢ってみたら、え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこいい伴侶がいますので! おじいちゃんと孫じゃないよ!

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。
BL
公爵家の3男として生まれた俺は、家族からうとまれていた。 母が俺を産んだせいで命を落としたからだそうだ。 俺は生まれつき魔力が多い。 魔力が多い子供を産むのは命がけだという。 父も兄弟も、お腹の子を諦めるよう母を説得したらしい。 それでも母は俺を庇った。 そして…母の命と引き換えに俺が生まれた、というわけである。 こうして生を受けた俺を待っていたのは、家族からの精神的な虐待だった。 父親からは居ないものとして扱われ、兄たちには敵意を向けられ…。 最低限の食事や世話のみで、物置のような部屋に放置されていたのである。 後に、ある人物の悪意の介在せいだったと分かったのだが。その時の俺には分からなかった。 1人ぼっちの部屋には、時折兄弟が来た。 「お母様を返してよ」 言葉の中身はよくわからなかったが、自分に向けられる敵意と憎しみは感じた。 ただ悲しかった。辛かった。 だれでもいいから、 暖かな目で、優しい声で俺に話しかけて欲しい。 ただそれだけを願って毎日を過ごした。 物ごごろがつき1人で歩けるようになると、俺はひとりで部屋から出て 屋敷の中をうろついた。 だれか俺に優しくしてくれる人がいるかもしれないと思ったのだ。 召使やらに話しかけてみたが、みな俺をいないものとして扱った。 それでも、みんなの会話を聞いたりやりとりを見たりして、俺は言葉を覚えた。 そして遂に自分のおかれた厳しい状況を…理解してしまったのである。 母の元侍女だという女の人が、教えてくれたのだ。 俺は「いらない子」なのだと。 (ぼくはかあさまをころしてうまれたんだ。 だから、みんなぼくのことがきらいなんだ。 だから、みんなぼくのことをにくんでいるんだ。 ぼくは「いらないこ」だった。 ぼくがあいされることはないんだ。) わずかに縋っていた希望が打ち砕かれ、絶望しサフィ心は砕けはじめた。 そしてそんなサフィを救うため、前世の俺「須藤卓也」の記憶が蘇ったのである。 「いやいや、俺が悪いんじゃなくね?」 公爵や兄たちが後悔した時にはもう遅い。 俺は今の家族を捨て、新たな家族と仲間を選んだのだ。 ★注意★ ご都合主義です。基本的にチート溺愛です。ざまぁは軽め。みんな主人公は激甘です。みんな幸せになります。 ひたすら主人公かわいいです。 苦手な方はそっ閉じを! 憎まれ3男の無双! 初投稿です。細かな矛盾などはお許しを… 感想など、コメント頂ければ作者モチベが上がりますw

娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

古里@電子書籍化『王子に婚約破棄された』
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。 「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。 元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・ しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・ 怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。 そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」 シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。 下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記 皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません! https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952 小説家になろう カクヨムでも記載中です

偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子
ファンタジー
サビオ・パッツィーニは、魔術師の家系である名門侯爵家の次男に生まれながら魔力鑑定で『魔力無し』の判定を受けてしまう。魔力がない代わりにずば抜けて優れた頭脳を持つサビオに家族は温かく見守っていた。そんなある日、サビオが侯爵家の人間でない事が判明した。妖精の取り換えっ子だと神官は告げる。本物は家族によく似た天使のような美少年。こうしてサビオは「王家と侯爵家を謀った罪人」として国外追放されてしまった。 隣国でギルド登録したサビオは「黒曜」というギルド名で第二の人生を歩んでいく。

処理中です...