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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第281話:落ち着け(事件は起きませんw)
しおりを挟むクランハウスに戻って来たら、やたらと上機嫌なオーベがいた。
「やっぱりピリリは凄いね~」
肩に乗っているピリリに頬擦りしている。
ピリリも喜んでいるから良いのか?
それにしても、それほどテンションの上がる何があった?
「まぁまぁ、とりあえずは落ち着いて話そうか~。お茶で良い~?」
「いや、なぜリビングから俺の部屋へ?」
「細かい事は気にしな~い」
細かいか?細かくないよな?
「レモングラスの美味しい茶葉を最近手に入れたのよ。それにしましょう」
咲樹も俺の部屋でいそいそとお茶の準備を始める。
ガルム用のカウチソファで、シズカや小狼姿のリルとくつろぎ始めたユズコよりマシか。
レイが静かだ。
なぜなら、ヨミが頭の上にまだ居るから。
動いたら落としてしまうとでも思っているのだろうか?
背筋を伸ばしたまま行動している。
歩くのは勿論、立ったり座ったりも姿勢良くしているのだ。
あれか?立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花ってやつか?
俺としては、むしろ落として欲しい。
叱るほどではないが、あまり調子に乗らせるのもなぁ。
<ヨミ、いい加減に降りねばな>
優しい口調ではあるが、拒否出来ない何かを含んだガルムの声音。
俺の心を読んだのか!?
<きゅぅ!>
はい!みたいな返事をしてからヨミが慌てて跳び降りた。
それでもレイに負担がないようにしたのは、褒めてやりたい……けど、今は褒めたら駄目だよな。うん。
オーベの出した卓袱台に、咲樹の出した高級なティーセットが並ぶ。
更にレイがお洒落なお菓子を出した。
フィナンシェ、マドレーヌ、マカロン、栗羊羹、栗しぐれ、タコ焼き……タコ焼き!?
まぁ、これで話を聞く体勢は整ったな。
さあ話せ、オーベ。
「いや~、本当に大した話じゃないんだよ~?あの森の中の小屋をそのままにして来たでしょ~?ギルド職員と一緒に処分してきただけ~」
処分とな?
「どうやって処分したんだ?」
ユズコが膝の上のユキを撫でくり回しながら聞く。
ユキまでそっちに行ってたのか。
「それはもう、ピリリが跡形もなく燃やしたよ~」
うわぁオーベが良い笑顔だ。
当のピリリは、テラに抱えられて空中浮遊を楽しんでいる。
力持ちだな、テラ。
自分の倍はありそうなピリリを軽々と抱えて飛んでいる。
「小屋の中に誰か居たみたいだけど、燃えちゃったから謎~」
えぇ~!?それで良いの?
PKとかのペナルティはないのか?
その前に対人戦闘以外でも異界人って傷付けられるのか。
「あら?ここってPKできたかしら?」
咲樹が首を傾げる。
「前は出来なかったけど、条件付きで出来るようになったんだよ~」
「もしかして運営からのメール読んでいないのですか?」
レイが咲樹に呆れたような視線を向ける。
すまん。俺も読んでいない。
「あ、俺もちゃんとは読んでない!」
ユズコが元気に手をあげた。
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