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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第272話:緊張感!!
しおりを挟むポトリ。
<んぎゃ!>
「あ、ごめん」
3回目である。
ガルムの上に乗っている時は良いのだが、自分の足で歩く時はついつい腕を振ってしまう為、ムンドが袖口から転がり落ちる羽目になってしまう。
悪気は無いのだがな。
今回は自力で森の中を歩いていた。
広場に降りてから、従魔達の様子が少しおかしい。
ピクニックだと童謡を合唱していたのが嘘のようだ。
同じ森の中ではあるが、深さが違う。
かなり強い魔獣や魔物の生息域で、俺が来て良い場所ではないだろう。
その前に、俺が単独で行ける場所は街中だけかもしれないが……街中でも独りになった事ないな。あれ?
「こっちにおいでよムンド~」
落ちたムンドを拾って手のひらに載せ、話し掛けているオーベ。
袖口に入って欲しいらしい。
<断る!>
体をばねのようにしてジャンプしたムンドは、そのまま空中を飛んでおれの左肩に着地した。
小さいサイズでも飛べたのだな。
胸元からパーカーの中へと侵入し、左袖へと移動する。
懲りない奴だな、と思ったら学習していた。
俺の左手首にクルリと巻き付いたのだ。
そういえば寝る時は自分の尻尾を咥えるのだったか。
邪魔にはならないし、放置する事にした。
「結界と幻覚魔法のコンボって、どんな魔物の仕業だろうな!」
意気揚々と、テラとシズカと一緒に先頭を歩いていたユズコが振り向いた。
は?結果と幻覚魔法?
「それは、どう考えても人間の仕業でしょう~」
この中で1番魔法に詳しいオーベが苦笑する。
結果と幻覚魔法の意味が解らず首を傾げていたら、サムズアップしたユズコとテラとシズカがズンズン歩き出した。
10メートル位歩いた所で、一瞬姿がブレると、こちらに向かって歩いてくるユズコ達。
結界か!!
「真っ直ぐ歩いてる感覚なんだけどな!」
ユズコが楽しそうだ。
実際に楽しいのかもしれない。
テラもシズカも、何回も行かないの!
あ、ヨミまで参加しだしたよ。
リル?わざわざ超小狼になってまで行かなくて良いから!
……ムンドが起きていたら、10メートル以上の大きさで試して貰ったかもしれない。
寝てて良かった。
「さて、皆楽しんだかな~?」
オーベの台詞に、結界で遊んでいた従魔達が満足そうに頷く。
俺とレイとガルムとユキは、遊ぶチビッ子組を見ながらお茶してたよ。
オーベは、監督。
ユズコ?勿論、白虎になって一緒に遊んでいたとも。
「それじゃ~、ガルムとリル宜しくね~」
オーベが何かするのかと思ったら、なぜかガルムとリルが呼ばれた。
呼ばれた二匹は理解しているのか、すぐにオーベの横に並ぶ。
因みにリルは、目と口から炎が出ている最恐バージョンだ。
「突撃~!!」
オーベが前を指差して号令を掛ける。
二匹が並んで駆け出した。
か、格好良い。惚れる。
しかも二匹の魔力が俺でも判るくらい、ブワリと膨らむ。
いつもは抑えてくれているのがよく解る。
二匹の姿が見えなくなったと思ったら、何かが破壊される音が響いた。
ちょっと厚めの大皿を落として割ったときの音に似ている。
見えなくなっていた二匹の姿がハッキリと見え、更に今までは無かった家が出現した。
―――――――――――――――
今回の題名は反語ですw
作中の『結果』は誤字ではありません。
ヴィンの空耳です。なので、後で「結界か!」となっております。
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