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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第270話:教育的指導
しおりを挟む「なぜ増えている?」
ピリリを置いてくる~と冒険者ギルドからクランハウスへと転移したオーベと別れて、待ち合わせの噴水広場へと向かった。
あちらは室内の移動だけなので、こちらより先に着いているだろうとは予想していた。
しかし、人数が増えているのは予想外だった。
「なぜこんな面白そうな事に呼ばない!?」
ユズコがもう見るからにワクワクしている。
「大怪我をした人がいるのに、不謹慎な言い方をしないでください」
ユズコの頭を遠慮なく叩いたのは、無表情のレイだ。
あれ?ちょっと怒ってる?
「置いていかれたからって、八つ当たりするなよ!」
わはははっと笑ってレイの背中を叩き返すユズコ。
もしかして、拗ねてるのか?レイは。
そうか。それ程ポーンラビットの丸焼きが食べたかったのか。
綺麗に食べきってしまったからな。
少しは土産に残せば良かったな、スマン。
スライムの件が片付いたら、また買いに行こう。
いや、前回は無料で貰ったのだった。
次回こそ、金を払って買う!
街を出て、また森の方へと歩き出す。
少し開けた場所に出たら、いきなりムンドが巨大化した。
そう、巨大化と言う言葉がピッタリの大きさだ。
なぜなら、ガルムと本来のサイズのリルが乗っても余裕があるからだ。
それよりも、なぜ巨大化したムンドに一切の躊躇なく乗る?オーベよ。
<主!何してんの!早く乗れよ!>
ムンドには、一度口の利き方を教えた方が良いのかな?ん?
<ムンド?誰に口を利いているのかな?>
<んぎゃ!痛い痛い痛い!爪!刺さってる!爪!!>
兄からの指導が入ったようです。
レイが俺を抱えてムンドの上へと飛び乗った。
因みにヨミは俺の胸元である。
ユズコは、ユキとシズカを抱き抱えて飛び乗って来た。二匹を下ろすと、サムズアップして見せる。
それに頭を下げている二匹。可愛い。
テラは自力でパタパタと飛んで来て、なぜかユズコの頭の上に落ち着いた。
えぇ~そこ?
「獣化」
テラを頭に載せたまま、獣化して白虎に変化したユズコ。
獣化したユズコの頭の上で嬉しそうに揺れているテラ。
もしや、この状態に慣れているのか?
「僕も獣化しましょうか?」
ユズコとテラを凝視していたら、レイに問われた。
いや、別に大丈夫です。
そもそもお前、獣化したら戦えないだろうが。
首を横に振ったら、なぜか残念そうな顔をされた。
<主よ、準備は出来ておるか?ムンドが飛ぶぞ>
ガルムに声を掛けられるのとほぼ同時に、凄い重圧を体に感じる。
「うぉ!」
思わず四つん這いになってしまう。
<ぎゅ!>
胸元から転がり落ちたヨミが不満の声を出した。
いや、ゴメン。いきなりで耐えられなかった……と思ったら、ヨミの怒りの相手はムンドだったようだ。
中型犬サイズになったヨミが、凄い勢いで足ダンを繰り出している。
<痛っ!痛い!ヨミ!痛いって!マジで!>
確かに痛そうな音がしている。
止めた方が良いかな。
<返事が来る前に飛び立ってしまったおぬしが悪いの。反省せい>
ガルムがヨミに加勢する。
<良かったねぇ。ヨミからの指導で済んだようで>
リルが牙を剥き出しにして笑う。怖っ。
ヨミが怒らなかったら、リルが噛むつもりだったのかな?
ヨミの気がすむまでやらしておこう。
その方が良さそうだ。
―――――――――――――――
レイが拗ねている原因に気付いていないのは、本人だけですw
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