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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第257話:従魔達
しおりを挟む「お買い上げ、ありがとうございました」
店員さんが深々と頭を下げる。
俺の見間違いでなければ、ン十億F\だった。
ポンッと払って良い金額では無いよな?普通。
クラン資金の総額がいくらなのか聞くのも怖い。
さて、用事も済んだし帰ろうと思ったら、凄く良い笑顔で店員さんに止められた。
「私、まだガルムやフェンリルと遊んでおりません」
え~、別に約束してませんけど……しかも遊ぶって言っちゃったよ、この人。
とても友達思いの友人達は「先に帰ってペットの家を設置しておくから」と、本当に先に帰りやがりました。
目に浮かびます。
ペットの家でカラフル兎達と戯れる双子と、ピリリと遊ぶオーベの姿が。
これだから、親友でも友人でもなく悪友と呼ばれるのだと自覚しろ、お前等!
「え?じゃあ、従魔の誰とも戦ってないの?」
なぜ店員さんが驚く。
「正確にはシズカとユキは、対人戦闘で戦っているな。対戦相手にテイマーがいて、そいつの従魔だったから」
<そうなのじゃ。糞忌々しい穢れた男であった!>
ユキちゃん、お下品。
<命令だけしてね、褒めてくれないし、心配もしないの!>
アイツは確かに最悪だった。従魔を物扱いしてたよな。
<でもね、シズカね、今は幸せなの!>
シズカの耳がピルピル動いている。可愛い。
<妾もじゃ>
ユキのフワッフワの尻尾が揺れ……激し過ぎないか?
<きゅ!>
ヨミちゃん?対抗意識燃やして幸せアピールしなくても大丈夫だから!
頬擦りは嬉しいけど、激し過ぎると角がね、こう、頬にね、当たりそうだから。
<ボクはね~、卵から生まれたの~>
テラがドーロを抱えて寄って来る。
「ドラゴネットを孵化させたの、チーフが泣いてたなぁ」
遠い目をする店員さん。涙の理由は聞かない方が良いのだろう。
「あれ?何持ってるの?ぬいぐるみ?」
テラの抱えているドーロに気付いたようだ。
<ドーロだよ~!>
合ってるけど、間違ってるな、テラ。
「ペットのカラフル兎だ」
ミニチュアヨミになるように頭に飾りを付けているから、カラフル兎だと判らなかったようだな。
何も言わずに溜息を吐くの、やめてくれませんかね?
ほら、うちの番犬と忠犬…忠狼?が威圧しますよ、物理的に。
ガルムとリルがゆっくりと店員さんの両脇へ行き、顔を近付けている。特にリルは炎有りの怖い顔だ。
自分の従魔じゃなかったら、確実に泣くな。
皆で和気藹々としていたら、左袖の中に居たムンドがチョロリと顔を出した。
<なんだ?どこだ?ここ。楽しそうにしてんじゃん!>
安全だと判ったのか、床へポトリと降りて店員さんの方へ行く。
<誰だ?コイツ>
ムンド~!!
躾か?躾が必要か?
<主に恥を掻かせる事は、例えムンドでも許さないよ?>
あ、兄からの教育的指導が入りました。
害虫でもプチッていくかのように、前足でバシッとされてます。
普通の蛇なら、中身が出てそうだな……怖っ。
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