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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第256話:ペットのおうちv
しおりを挟む「そんな事言わないで、お願いします!ガルムとフェンリルと話したい~」
とうとう土下座になったよ、店員さん。
「いつかは買わなきゃいけないものだし~、しょうがないから行く~?」
どこか諦めたオーベの言葉に、全員が渋々頷いた。
店内は、机と椅子が置いてあるシンプルな応接間風だった。
無駄に空間が広いのは、従魔が一緒だからのようだ。「お客様によって色々変わります」と説明してくれた。
確かにこの広さなら、ガルムだけでなくリルが本来の姿になっても大丈夫そうだ。
後でムンドも大きくしてみよう。
「どんな家が良いですか?和風?洋風?アジアンテイストも有りますよ?」
カタログを机の上に広げている店員さん。
椅子に座って真面目に検討しているのは、ジルドとレイだ。
俺とオーベは、広い空間で従魔とペットと遊んでいる。
あ、これって所謂『キッズスペース』ってやつか!?
自分で気付いて、ちょっとへこんだ。
「カフェでも開くんですか?」
困惑した店員さんの声が聞こえた。
「いや、ペットの家だな」
ジルドが答えているが、店員さんの顔は困惑のままだ。
きっと馬鹿みたいに設備を整えたのだろう。
「あ!一部屋防炎設備を完璧にしてもらわないとだった~!溶岩にも耐えられるレベルの~」
ピリリを持ったオーベが商談に参加しに行く。
そうか。ペットの家なのだから、ピリリの部屋も必要か。
「溶岩!?」
驚いた店員さんが顔を上げて、ピリリを見て固まった。
「なぜ青白い?」
それはリルの炎のせいです……とは、言わない方が良いのだろう。
「高温だから~」
オーベが自慢げに言うけど、そういう意味じゃないと思う。
ペットの家は、平家造りで、カラフル兎専用の部屋と、完全防炎?のピリリの個室、ジルドとレイが餌付けしている野生ウサギとイタチ(仮)の部屋、共有スペース、シャワースペース、キッチンがある。
キッチン?いるか?
そして、共有スペースが異様に広い。
なるほど。これは、店員さんがカフェでも開くのかと聞いてくるはずだ。
野生ウサギとイタチ(仮)の部屋からは、勝手に共有スペースには来れない仕様になっている。
ピリリとカラフル兎は、共有スペースには自由に出入りできるけど、他の部屋には行けない。
外への出入りは、どの部屋からも自由なのか。ただし登録が必要、と。
従魔も登録しておこう。
各部屋にある外への出入口は、出口と入口に分かれており、入口にはシャワースペースがあって、入って来た時にだけ機能する。
これは、クランハウス本邸よりも機能が充実してないか?
「これほど機能を充実させる必要が……いえ、何でもありません」
店員さんの戸惑いが手に取るように判る。
そうだよなぁ。
これがペットの家だというのだから、正気を疑うよな。
外観もログハウス調で、お洒落なペンションのようだ。
本邸はコンクリートの箱なのにな!
あ、そうだ。
それも選ばなければいけないのだった。
俺個人の好みでは、藁葺屋根の古民家調なのだが、中とのギャップが凄すぎるかな?
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