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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第243話:試合終了〜!って、あれ?
しおりを挟む「えぇっと、降参?」
降参にしてしまうと対人戦闘自体が終わってしまうが、これは終わりで良いのでは?
そう思ってココア達に声を掛ける。
ロリッ子魔女とシスターは魔力切れで倒れてるし、盾役の重装騎士は壁際に飛んで行ったまま戻って来ない。
忍者は剣が折れてしまい、茫然自失で剣を抱えて座り込んでいる。
ココアは、とりあえず立っているが、汗だくで満身創痍だ。
「ココア、良かったな!何回か攻撃当たってたぞ!」
褒め言葉として言ったつもりだったのだが、睨まれた。
「コンボ技は全部当たらないと意味無いのよ!それに、全然効いてないじゃない!」
確かに。拳が光ってドゴオーンとか凄い音が鳴ってた割には、打たれたリルは平然としてたな。
<あぁ、なるほど、そうなのだね。では、全部受けるからもう一度打ってみると良い>
リルがワクワクしながらおすわりをする。
これは、防御もしないでコンボ技を受ける気満々のようだ。
それを見たココアは、ガックリと項垂れた。
「もう、良いわ……負けました」
正座して頭を下げる姿は、将棋とか囲碁とかの対戦で負けを認めた時のようだと思った。
<終わってしまったの>
ガルムがゆっくりと歩いて来る。
「試合したかった?」
ガルムに聞くと、首を横に振る。
<リルほど酔狂ではないのでな。自分から攻撃を受ける気はない>
あ~やっぱりリルは、わざと攻撃に当たってたのか。
PvPが解除されても、壊れた武器や防具は直らないようだ。
今にも泣きそうな忍者にミスリルを渡す。忍者の細剣なら、丁度作れそうな量だ。
これは、前にレイが「要りますか?」と聞いてきた時に「要らん」と即答したミスリルだ。
いらんと言ったのに、結局押し付けられたのだ。
「新しい従魔に武器や防具を作りたくなるかもしれませんよ?」とか言われてな!
怪我は無いけど、MP切れの二人とココアは歩けそうもないよな。
あ、重装騎士は怪我してるだろう。
「リル、重装騎士回収して来て」
<はい?我がかい?>
お前がやったんだから、責任持って回収しなさい。
<おれが連れて来てやる!>
袖口からシュルンとヨルムンガンドが飛び出した。
ホラーだ。超巨大蛇が人を咥えて近寄って来るホラー映画だ。
頭だけでリルと同じだけありそう。
<はい。グッタリしてるけど生きてるよ>
「あぁ、ご苦労様」
重装騎士を床に下ろしたヨルムンガンドは、また小さくなって俺の左袖に入って行った。
さて、困った。
HPやMPを回復させるポーションとか、ココア達は使い切ったそうで、重装騎士を回復する手段がない。
持ってなくてすみません。
冒険者失格です。
食べ物はたんまり持っているのだが……
回復持ってる従魔とか居たら便利なのかもな……と、そこまで考えて、自分の失敗に気付く。
俺の中で回復魔法を使える魔獣といえば、一択だ。頭にフッと思い浮かべてしまったよ、そろそろ帰って来るかな?と。
ウィンドウを開いてステータスを確認して、やっぱりな~と脱力した。
そして確認している間に、ピコンともう1行増える。
片方だけじゃ可哀想だよな、と思ったからだろう。
従魔に、白狐と月兎が増えました。
ヨルムンガンドの名前もまだ決めていないのに……。
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