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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第242話:個人差とか、色々だね
しおりを挟む「え、え~と、攻撃してもらっても良いですかね?」
盾役の重装騎士がリルに声を掛ける。
おそらく自分の盾としての実力を確認したいのだろうが……
<テラに吹き飛ばされるような者が大丈夫なのかい?>
ああぁ、物理攻撃してないのに、重装騎士が膝を突いている。
この場合リルの王子様口調が、口撃力アップしてるよ。
「一応PvPなのだから、お伺いはいらないぞ。存分に攻撃してくれ」
相手のパーティーがリルに遠慮しているのかと思い、物陰から叫ぶ。
リルも自分が先に攻撃するのは遠慮しているようだ。
リルの場合は、攻撃したらそれで試合終了になりそうだしな。
「遠慮なんて最初からしてないわよ!」
ココアに怒られた。
攻略組って、戦い方が慎重なのか。
そう言われれば、そうだよな。未知の魔物や魔獣と戦うのに、闇雲に突っ込んで行くわけにはいかないか。
うちの従魔や悪友達も、『しきしま』だから先制攻撃と言う名の瞬殺ができるだけか。
「奥が深いな……戦闘って」
思わず呟いたら、テラとヨミに何言ってんだコイツみたいに見下ろされた。
地味に傷付くからやめてください。
結果。
リルは重装騎士の希望通り、風の魔法をぶつけていた。
それが1番安全らしい。
斬撃は加減を間違えると、体が上下に『さようなら』するそうだ。
俺の為に止めてくれ。トラウマ案件だ。
それでも死なないだけで、かなりの重傷を負って、シスターに治療されていた。
戦闘に巻き込まれないようにガルムが俺の横まで運んで来て、シスターが治癒魔法を掛けている。
オーベの治癒は呪文を唱えるとすぐに回復する印象だが、怪我の程度が違うからかシスターは手から淡い光を出して、ゆっくりと体に染み込ませている。
「凄いな。治療しているって感じだな」
思わず褒めてしまう。
「え?オーベさんも治癒術師ですよね?」
シスターが首を傾げる。
美人がやると、ちょっとドキッとする。
咲樹も美人だが、中身がアレだからなぁ。
「うちは皆頑丈だからな。怪我したのを見た事がない。それに前の対人戦闘で敵に治癒魔法掛けていたが、そこまで重傷じゃなかったのか、一瞬で治してたな」
シスターの口がパカンと開いた。
「怪我が一瞬で治るなんて、そんなゲームのような治癒魔法、どれだけレベル高いんですか!?」
シスターが混乱して変な事を言った。
そもそもここ、ゲームの中だよな?
まぁ、従魔達はゲームのキャラだけど、俺の中では実在しているペットだ。
「いてて。あのさ、普通は単純骨折で非観血的整復術レベルの治療でも、一瞬って表現するような時間では治らないよ」
重装騎士が体を起こしながら説明してくれる。
「これでもうちの回復術師は、前線でかなり優秀な方だからね」
ひかんけつ的?整復術が解らないのだが、まぁ簡単な治療と思って良いのかな。
「前に八咫烏の怪我を一瞬で治していたが、それも普通じゃ」
「ないからね!」
シスターに間髪入れずに否定されました。
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