ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う

第241話:頑張れ!

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「2番手の希望はあるか?」
 ココア達に声を掛ける。
「え?1回も攻撃当てられてないのに交代なの!?」
「え?当てられるのか!?」
 あ、すみません。ロリッ子魔女がへこんでしまいました。
 観客としての素直な感想だったのだが、俺も一応当事者でした。
 とても失礼な発言でした。すまん。

<次は我の順番かな?>
 リルが前に進み出る。
 あぁ、見てるのに飽きたのか?
「特に希望がないなら、リルでも良いか?」
 俺の質問に、ココア達五人が顔を見合わせて、コソコソと相談を始める。
 何かが決定したようで、五人が頷きあった。

「ガルムとリルとウロボロスの中で、1番強いのは誰?」
 ココアが聞いてくる。
 ウロボロスじゃなくて、ヨルムンガンドな。
 まぁ良いけど。
「誰?」
 ガルムの顔を見上げる。
<リルとは本気で戦った事が無いので何とも言えんな>
 だよね。
 ガルムはこの前まで、フロアボスだったからな。
 あ、でも冥界時代昔からの知り合いだったな、そういえば。


<1番弱いのは、ヨルムンガンドだけどね>
 兄ちゃんリルが容赦ない。ヨルムンガンドが項垂れてるぞ。
<弱くないし……おっきくなれば勝てるし>
<お前は、大きくなったら寝ているだけだろう?>
<正直、儂もヨルムンガンドには負ける気がせんなぁ>
 あぁ、ガルムとリルが容赦ないです。
 超しょんぼりです。

<おれ、弱くないもん……>
 ああぁぁぁ、拗ねちゃったよ。
 まぁヨルムンガンドを弱いなどと言えるのは、ガルムとリルだけだろうな。
「はいはい、ガルムとリルでヨルムンガンドを虐めないの。ほら、ヨルムンガンド、おいで」
 今のヨルムンガンドは3メートル。
 しょんぼり姿は可愛いけど、近くに来ると大迫力。
「俺の手に載るくらい小さくなれるか?」
 コクリと頷くと、またたく間に小さくなった。

「……俺の手は、そこまで小さくないぞ」
 目の前には5センチほどになったヨルムンガンド。踏み潰してやろうか。
「15センチくらいで大丈夫だ」
 あの、リルが鼻に引っ掛けて遊んでいたサイズな。
 言われたサイズになったヨルムンガンドを、服の中にスポンと放り込む。
「お前はそこでお休みな」
 俺の服の中を動き回っていたヨルムンガンドは、最終的に左腕の袖の中で落ち着いた。
 蛇は細長い狭い所が好きだったような気がするから、これからも小さいサイズの時には入れてやろう。


「すまん、放置した」
 ココア達五人に顔を向ける。
「う、ううん、大丈夫よ。じゃあ、リルにお願いしようかしら」
 何となく顔色が悪いのは、気のせいだな。うん。
 が大きくなれば、ロリッ子魔女の魔法も当たるだろう。
 頑張れ!とか言ったら、尚更落ち込むのだろうか。

 先程の台座の陰へ隠れる。
「はい、始め!」
 全員に聞こえるように大声で叫ぶ。
 余談だが、ヨミとテラは台座の上にいる。
 ドーロは対人戦闘PvPが始まってからずっと、俺のフードの中で寝ている。
 ある意味、この子も大物である。

 俺の開始の声とほぼ同時に、ロリッ子魔女が魔法攻撃をする。
 リルは大きさこそガルムより大きいサイズだが、目と口から炎は出ていない。
 手加減しているのだろう。
 リルの体を炎が包む。色は赤と言うか橙?
 見るからにより温度が低そうだ。

 案の定、リルが体を振ると炎は消えてしまった。
 うぅん。焦げ跡一つないな。
 あぁ、ロリッ子魔女が戦闘バトル中なのに項垂れてしゃがみ込んだよ。
 何かごめんな、うちの子が。


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