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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第237話:蛇足
しおりを挟む蛇……?
いや、体は蛇だが、何やら余計なものがくっ付いてるぞ?
あれだ。蛇足という言葉の元になった話。
凄い絵の上手い男が、他の人より先に描き終わったから「俺は足も描ける」とか言って、足を付け足してしまったってあの話。
その、蛇足の絵のように、蛇の体に蜥蜴の手足が付いている。
しかも、頭の付け根に羽根?角?な、微妙な物も付いている。
「リルさんや。この蛇もどきは、元居た場所に戻して来なさい」
見た事のない生物など、関わらない方が良いに決まっている。
<蛇もどきちゃうわ!>
蛇もどきがシャーッと威嚇してくる。
<五月蠅いよ。主に向かって失礼だろう>
リルが前足をペシンと叩きつける。
ギュとかギャとか言う声が聞こえた。
リルに潰された蛇もどきは、自分の尻尾を咥えて輪になっている。
昔のゲームでこういうキャラいたな。
で、輪になった蛇もどきを鼻に引っ掛けて上に放り投げ、落ちて来たところをまた鼻に引っ掛けて遊ぶリル。
最初に見た時より明らかに蛇もどきのサイズが大きいのは、きっと気のせいだ。
サイズ変更ができる魔物がそうそういるわけないからな。
<主よ、そろそろ諦めたらどうだ?>
神殿の中を歩いていたら、ガルムに声を掛けられた。
いや、実際に歩いているのはガルムで、俺はその背に乗っているだけだが。
「何を諦める必要が?」
ヨミを抱きしめながら返事をする。
はぁぁ、もふもふ気持ち良い。
今のヨミは中型犬サイズなので、後ろから全身で抱きしめる。俺の精神安定の為に、このサイズになってもらった。
こういう時は、ハーフリングで良かったとしみじみ思う。
<リルは~、ヨルムンガンドを連れて帰るの~?>
ああぁぁぁ、言っちゃったよ。
テラが名前を言っちゃったよ。
なぜ名前が判ったのか、それは聞かない方が良いのかな……いや、違う。
「テラ。あれはヨルムンガンドではなく、蛇もどきだ。そして、連れては帰れないよ」
テイムもペット化もしてない魔物や魔獣は、街中やクランハウスには入れないからな。
<蛇もどきちゃうわ!!>
あ、空中で尻尾を離したから、リルの鼻先に引っ掛からないで、そのまま地面に落ちた。
あ、踏まれた。
馬鹿だ。こう言ったらアレだが、ちょっと頭が弱い子な気がする。
ヤンチャでイキった、お馬鹿な中学生のようだ。
<相変わらず、愚かな……>
ガルムが大袈裟なほど大きな溜息を吐く。
<愚かちゃうわ!兄ちゃんが投げるのが悪いんだ!>
リルに踏まれながら、蛇もどきがリルを兄ちゃんと呼びました。
もう否定のしようもありません。
マーダースネークの生息地にいるはずでは?
だから、わざわざ行き先変更して、この神殿を見に来たのに……
なぜここにいた?
ヨルムンガンド。
折ったはずのフラグが折れてなかった。
そして、小さすぎるわ!
大陸を囲うサイズじゃなかったのか?お前。
サイズ変更できるけど、3メートルサイズが常じゃなかったのか?
最初は本気で気付いてなかったわ!
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