ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

文字の大きさ
上 下
216 / 506
いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

216:混沌と書いて……

しおりを挟む
 


 店内は、異様な雰囲気に包まれていた。
 水色狼の着ぐるみパーカーを着たレイ。耳と尻尾は自前だ。
 濃い青色のイタチのミロ。背中には黒い鳥の羽根が生えているので、新種の妖怪のようだ。
 羽根は自前なのでしょうがないのだが。
 ピンクのウサギのココア。
 なぜウサギをチョイスした?綺羅よ。
 そしてグレーのタヌキの爺さん。
 うん。玉袋無くてマジで良かったよ。

 何ですか、ここは。
 あれですか?新たなアトラクションでも始めるとか?
 皆さん、遊園地のキャストとかですかね?
 迷子に声掛けたら、間違いなく泣かれるぞ。


「こんにちぃ!?何だ、このカオス!」
 ほら、店内に入って来た子供がドン引きして……って、斗苫斗的ととまとまとか。
 多分、お前の着ぐるみもあるから安心しろ。
「斗苫斗的は、トマトとハムスター、どっちが良い?」
 綺羅が真っ赤な着ぐるみと、薄茶色の着ぐるみを手に持ってにこやかに微笑む。
 ハムスターはキンクマハムスターなのか。

「トマトって、絶対名前からだよね!?僕、別にトマトが好物じゃないからね!」
『斗苫斗的』は、トマトが好きだから付けた名前ではないらしい。
 俺も、斗苫斗的はトマト好きだと思ってた。
「着るのが決定してるなら、ハムスターで」
 綺羅からハムスター着ぐるみを受け取った斗苫斗的は、すぐに着替えた。
 いさぎいいな。躊躇ちゅうちょ無しかい。

 斗苫斗的のハムスターは、普通に可愛いかった。子供のお遊戯会のようだ。
 その格好で外を歩いたら、ヤバイ人に攫われそうだな。
 普段は高校生くらいに見えるが、その格好だと小学生に見える。
 服装って大事だな。



 着ぐるみを着た斗苫斗的は、カラフル兎の箱詰めを見て、目をパチクリさせている。
 益々ハムスターらしく見えるな。
「え?これって食べられたりします?」
 落ち着いたからか、斗苫斗的がいつもの敬語口調に戻った。内容は酷いけど。

 いや、どっちが素なのか。まだ俺には他人行儀なのかもな。
 しかも俺との出会いは、まぁ、アレだったからな。
 更に【cinq(サンク)】のファンのようなので、俺も同列に並べられてしまったのかもしれない。
 ちょっとさみしい。

「食べるって、カラフル兎を?」
 綺羅がちょっと引いてる。
 まぁ、そうなるよな。
「う~ん、キラーバニーも食材になるから、有り……?って、痛ぇ!マジ痛いって!ちょ、ココアさん!?腕!骨折れるって!」
 ミロが真面目に答えたら、ココアがミロの手首をギュッと握りしめていた。
 手の色が段々と悪くなっていく。血流止まってるな、これ。


「すみません。パステルカラーのカラフル兎が居るとは思わなくて、よく出来たお菓子かと思いました」
 涙目で手首をさすっているミロに、斗苫斗的が頭を下げる。
 いや、斗苫斗的は謝らなくても良いような?
 それにしても、なぜミロは大袈裟に痛がっているのだろう。

「ヴィン、彼の痛がりは演技ではないですよ」
 俺があまりにもミロを凝視していたからか、レイが言う。
「ミロはセーフ機能オフ過度な接触OKになっているのです。ココアもですけどね」
 マジか。ドMとかですか!?


しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

動物大好きな子が動物と遊んでいたらいつの間にか最強に!!!!

常光 なる
ファンタジー
これは生き物大好きの一ノ瀬夜月(いちのせ ないと)が有名なVRMMOゲーム Shine stay Onlineというゲームで 色々な生き物と触れて和気あいあいとする ほのぼの系ストーリー のはずが夜月はいつの間にか有名なプレーヤーになっていく…………

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

処理中です...