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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!
216:混沌と書いて……
しおりを挟む店内は、異様な雰囲気に包まれていた。
水色狼の着ぐるみパーカーを着たレイ。耳と尻尾は自前だ。
濃い青色のイタチのミロ。背中には黒い鳥の羽根が生えているので、新種の妖怪のようだ。
羽根は自前なのでしょうがないのだが。
ピンクのウサギのココア。
なぜウサギをチョイスした?綺羅よ。
そしてグレーのタヌキの爺さん。
うん。玉袋無くてマジで良かったよ。
何ですか、ここは。
あれですか?新たなアトラクションでも始めるとか?
皆さん、遊園地のキャストとかですかね?
迷子に声掛けたら、間違いなく泣かれるぞ。
「こんにちぃ!?何だ、このカオス!」
ほら、店内に入って来た子供がドン引きして……って、斗苫斗的か。
多分、お前の着ぐるみもあるから安心しろ。
「斗苫斗的は、トマトとハムスター、どっちが良い?」
綺羅が真っ赤な着ぐるみと、薄茶色の着ぐるみを手に持ってにこやかに微笑む。
ハムスターはキンクマハムスターなのか。
「トマトって、絶対名前からだよね!?僕、別にトマトが好物じゃないからね!」
『斗苫斗的』は、トマトが好きだから付けた名前ではないらしい。
俺も、斗苫斗的はトマト好きだと思ってた。
「着るのが決定してるなら、ハムスターで」
綺羅からハムスター着ぐるみを受け取った斗苫斗的は、すぐに着替えた。
潔いな。躊躇無しかい。
斗苫斗的のハムスターは、普通に可愛いかった。子供のお遊戯会のようだ。
その格好で外を歩いたら、ヤバイ人に攫われそうだな。
普段は高校生くらいに見えるが、その格好だと小学生に見える。
服装って大事だな。
着ぐるみを着た斗苫斗的は、カラフル兎の箱詰めを見て、目をパチクリさせている。
益々ハムスターらしく見えるな。
「え?これって食べられたりします?」
落ち着いたからか、斗苫斗的がいつもの敬語口調に戻った。内容は酷いけど。
いや、どっちが素なのか。まだ俺には他人行儀なのかもな。
しかも俺との出会いは、まぁ、アレだったからな。
更に【cinq(サンク)】のファンのようなので、俺も同列に並べられてしまったのかもしれない。
ちょっとさみしい。
「食べるって、カラフル兎を?」
綺羅がちょっと引いてる。
まぁ、そうなるよな。
「う~ん、キラーバニーも食材になるから、有り……?って、痛ぇ!マジ痛いって!ちょ、ココアさん!?腕!骨折れるって!」
ミロが真面目に答えたら、ココアがミロの手首をギュッと握りしめていた。
手の色が段々と悪くなっていく。血流止まってるな、これ。
「すみません。パステルカラーのカラフル兎が居るとは思わなくて、よく出来たお菓子かと思いました」
涙目で手首をさすっているミロに、斗苫斗的が頭を下げる。
いや、斗苫斗的は謝らなくても良いような?
それにしても、なぜミロは大袈裟に痛がっているのだろう。
「ヴィン、彼の痛がりは演技ではないですよ」
俺があまりにもミロを凝視していたからか、レイが言う。
「ミロはセーフ機能オフになっているのです。ココアもですけどね」
マジか。ドMとかですか!?
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