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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!
210:おかしい
しおりを挟む鬱蒼とした森も、遊歩道が出来て陽が入ると、途端に清々しい気がしてくるから不思議だ。
これからは、良い散歩道になりそう……?
目の前の光景を見て、ふと思った。
ウッカリ誰か巻き込まれてないよな?
木こりとか、冒険者とか、森の中に居なかったよな?
異界人は対人戦闘を行わなければ傷付けられないが、住人はどうなのだろうか。
「ガルム、えっと……誰かを巻き込んだとか、怪我させたとかは大丈夫だったか?」
一応聞いてみる。
<大丈夫だったね。森に人は居なかったし、魔獣達も巻き込まれる前に逃げていたようだよ>
俺の質問に答えてくれたのはリルだった。
<主は心配性だね~>
フードからテラの声が聞こえる。
ドーロと遊びながらも、こちらの会話は聞いているらしい。
<きゅ?>
ヨミが俺の顔を見上げながら、首をちょこっと傾げる。
大丈夫?なのか、心配?とかなのか。
<ヨミ。倒す?って、まだ倒す相手が現れていなくないかい?>
リルが楽しそうに言うが、ヨミは可愛い顔と仕草で物凄く物騒な事を言っていた。
今日は、森を半分位進んだ所で帰る事にする。
半分位だと判断したのはガルムだから、間違いないだろう。
ガルムの遊歩道を作った魔法の影響か、ほぼ魔獣にも会わずに終わった。
小さい太陽が転がって来たら、それは誰でも逃げるよな。
「え?あの森、周りは殆どトレントよ?」
はぁ!?
「いや、だが、周りにいた魔獣は逃げたってリルが……」
トレントは木か!確かに獣ではないが!
言葉遊びかトンチかよ!確かにいつもは『モンスター』って言うのを、わざわざ『魔獣』と言ってたな。
ではあの時のヨミの『倒す?』は、周りにいるトレントの事だったのか!
リルの『現れてない』は、敵意を向けてきていないという意味だったのか?
もう、今更確認してもしょうがないけどな。
あ、なぜか咲樹に哀れむような視線を向けられた。
ずっと部屋に居たら、どんどん魔素?魔力?が溜まって、カラフル兎がとんでもない事になりそうだったから、ヨミの気晴らしも兼ねて外に出掛けたはずなのに……おかしい。
このおかしいは、ちょっと外に出掛けただけで規格外な事をしでかすうちの子達の事と、なぜか増えてるカラフル兎の両方に向けている言葉だ。
そう。また増えている。
なぜ数を数えたわけでもないのにすぐに判別できたかと言うと、増えたカラフル兎がおかしいからだ。
<うわあ~!可愛いね~ドーロ!>
ドーロを抱えて兎小屋の上空をフヨフヨ飛んでいるテラ。
ドーロも同意するように頷いている。
そう。彼等が見てもすぐ判るくらい他とは違うのだ。
<ほぅ、またしても新しい色が生まれたのだな?主>
ガルムもすぐに気が付いた。
<美味しそう……>
呟いたリルの頭を叩いておく。
確かに、マシュマロみたいで美味しそうに見えなくもないが。
「食うなよ」
<さすがの我も、それくらいの分別はある>
叩かれた頭を抱えながら、リルが睨んでくる。
超小狼姿だから、可愛くしか見えない。
ヨミも小屋に前脚を掛けて興味津々に見つめる新しいカラフル兎は、淡い色だった。
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