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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!
190:何してるわけ?
しおりを挟む「新年の料理食ってないぞ!」
ユズコの言葉に、皆がカラフル兎から意識を離す。
<梅巻き食べる~!>
「梅巻き?」
テラの台詞に不思議そうに首を傾げるユズコへ、「ちくわ巻き梅入り」と説明してやる。
「よし!解った!」
よし!テラの給仕はユズコに任せよう。
「因みにヨミは梅干し苦手だからな……って、ジルドがいなかったな」
「あら、じゃあ今日は、私が食べさせてあげるわね」
咲樹が俺の肩からヨミを持ち上げ、リビングへと連れて行ってしまう。
「じゃあ、俺がリルの給仕係だね~」
同じように、オーベがリルを連れて行く。
あれ?レイが居なかったのか。
リビングへ行くと、まだレイとジルドは居なかった。
ジルドはカラフル兎の為の柵作りだと判るが、レイは何をしているのだろうか?
自室にカラフル兎を探しに行ってから、全然帰って来ない。
これは、いつもの仕返しに行く良い機会かもしれない。
自分でも自覚している悪い笑顔で、レイの部屋へと向かう。
3回ノックして、返事を待たずに扉を開ける。
「レイ!何してる?」
固まった。俺が。
「いや、マジで何してるわけ?」
部屋の中には、上半身裸のレイが蹲っていた。
「ヴィン!助けてください!」
いつも冷静なレイの珍しく焦った声に、悪戯心がムクムクと……大きくなったが、本気で困っているようなので思いとどまる。
「助けるけど、何してるのかをまず教えてくれ」
近付くと、レイは自分の着ていた服を押さえるようにしていた。
レイは、兎小屋を作成して部屋に置いていた。ただし、材料が足りなくて、まだ途中までしか出来ていなかったらしい。
カラフル兎の色に合わせた手触りの良い魔獣の皮を床に敷いた小屋で、まだ柵は一切無かったとか。
そこにカラフル兎が三匹居たと。
柵が無いから、逃げ放題だ。
レイの部屋の棚には、趣味で集めた色々な薬剤が置いてあり、カラフル兎が誤って触ってしまったら大変な事になるらしい。
怖くて、どのような効果の薬剤か詳しくは聞いていない。
咄嗟に着ていたシャツを脱いで、カラフル兎を閉じ込めたまでは良かったが、複数匹なので捕まえる事も出来ずに今に至ると。
「えぇっと、レイさん?」
「はい」
「まず、説明よりも服の中にカラフル兎三匹居るから、捕まえるの手伝って!で良かったのでは?」
「あ……」
どれだけテンパってるわけ!?
説明は後でいくらでも聞きますけど?
何してるか教えろとは言ったが、なぜそうなったかの説明は求めてないぞ?
何が起きてるのか判ったので、レイが押さえている床のシャツの中でモゾモゾしてる3つのうちの2つをそっと上から捕まえる。
「レイ、残り一匹をまず捕まえて」
「わかりました」
俺が二匹を捕まえたので、両腕でシャツを押さえる必要が無くなったレイは、残り一匹を難なく捕まえた。
片手が自由になったレイは、チャットでオーベに助けを求めた。
適当な空箱を持って来たオーベは、上半身裸のレイを見て、遠慮なく爆笑していた。
シャツの上から捕まえたまま箱の中へ入れ、そっとシャツだけを取り除く。
現れたのは、青二匹と黒一匹のカラフル兎だった。
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