189 / 506
いろんな意味での初イベントに参加しますよ!
189:兎とうちの子と執事
しおりを挟む「部屋には居なかったわ!」
扉が開け放たれたままだったからか、ノックも無しに咲樹が部屋に入ってくる。
咲樹の部屋なら、黄色い兎が居そうだと思ったのだが、居なかったらしい。
なぜ黄色か。
家具の至る所が金色だからだ。
やはり、ちゃんと黄色じゃなきゃ駄目なのか?
いや、そもそもカラフル兎の発現条件が色だけとは限らないか。
お、ドタバタとした足音。ユズコか?
「畳の上に緑の兎が居たぞ!」
ジルドかい!
しかし畳って真緑ではないよな?乾燥させた草だし。
色……だけではないな、うん。
「俺の部屋には、何も居なかったな!」
部屋に入るやいなや、大きな声で報告してきたのはユズコだ。
目の前に居たジルドの手元を覗き込み、緑だ!と驚いている。
告知メールに画像添付されてただろうに、見ていないのか?それとも、生で見た驚きか?
「ジルドは~、ヴィンみたいに兎小屋用意してあるの~?」
(黒)(赤)が魔物茄子を食べる姿から目を離さずにオーベが質問する。
「いや、部屋で放し飼いで良いかと思ってな。餌皿と水皿は用意した。床の間に置いてある」
ジルドの部屋って床の間あるのか!
掛け軸は龍?山水画?鳥獣戯画……は、巻物か。
「だが、思ったより生で見ると小さいから、床の間に柵を作って出ないようにしないと、私が踏みそうだ」
それは、早急に作ってあげてください。
「と、言うわけで、ちょっと預かってくれ」
カラフル兎(緑)を渡された。
「すぐ迎えに来ないとうちの子になっちゃうからな」
言いながら、兎小屋へ入れる。
先住兎は、まだ魔物茄子を食べている。
その中へ(緑)も混じって行った。
三匹が黙々と魔物茄子を食べているのを、男四人……じゃないか、咲樹はここでは女か……で眺める図。
ガルムは俺の後ろにお座りして、やはり兎達を眺めている。
頭の上にはヨミとリルがいて、同じように兎を眺めている。
テラは自力で浮いていて、兎達を1番近くで観察していた。
カシャ
音がした方を見ると、咲樹がスクショを撮っていた。
「ここだけ見ると、ドラゴンが魔物を狙ってるの図ね」
失礼な!うちのテラは魔物を狙ったり……するな。普通に倒すな。
兎を殺……すな。キラーバニーとか、狩るな。
えぇと、弱いものは……って、今のテラから見たら、この地域の殆どの魔物は自分より弱いな。
反論~!頑張れ、俺の語彙力!
「テラは良い子だから、可愛い兎を虐めないよな~」
オーベが俺の代わりに言ってくれる。
<虐めな~い!>
うちの子可愛いな!
「テラは良い子だな」
手招きして、フヨフヨ飛んで来たテラを抱きしめる。
<我も虐めないよ>
<きゅ!>
リルとヨミがガルムの頭から、俺の両肩へ降りて来た。
「はい、はい。皆、良い子だな」
肩の上の二匹も撫でてやる。
上に手を伸ばすと、ガルムが顔を寄せてきた。
「ガルムは紳士だよな!」
<フム、紳士かの?>
問い返しながら、嬉しそうに頬擦りするガルム。
「紳士だ。それか、執事?」
ガルムの頬をガシガシと撫でる。
<執事か、悪くないの>
冥界の番犬ガルム、俺の執事に正式に就任です。
242
お気に入りに追加
1,461
あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる