上 下
188 / 506
いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

188:赤と黒

しおりを挟む
 


「はぁ!?」
 俺の「カラフル兎(赤)捕まえた」に対する反応は、咲樹の若干ドスの効いた声だった。
 これ、「あぁん!?」だったら、チンピラが喧嘩売る時の声だぞ、お前。
「どこに居たのですか?」
 レイが俺の手の中を覗き込みながら聞いてくる。ちょっとワクワクしてるのが伝わってきた。
「テーブルの上のミニトマトの皿の横」
 皆の視線がミニトマトへと向く。
 当たり前だが、もうカラフル兎は居ない。

「赤いミニトマトの側にカラフル兎(赤)が居たって事は、ビビットカラーな物の側に居る可能性が高いな」
 ジルドの予想に皆が納得した瞬間、が自室へと駆け出した。
 因みに残ったひとりはオーベだ。
「物が多過ぎて、カラフル兎も避けるだろう」とは、本人の弁。

「それじゃ、この子を小屋に連れて行くか」
 床に手を付かないで立ち上がるのって意外と大変だな。
「それじゃ~ドア開けられないよね~」
 オーベも一緒に立ち上がる。
 ?あれ?
 いつもなら、スッと横につくガルムが伏せ状態のまま動かない。
「ガルム?」
 問い掛けると、困ったような表情をされた。

<背中に、小さなが乗っていて、落としそうで動けんのだ>
 大分広いですけど!?落ちる心配なくない?
 いや、紳士なガルムだからな。弱きものには優しいのか。
「背中~?」
 俺の代わりに、オーベがガルムの背中を確認してくれる。俺の身長じゃ、たとえ伏せをしていても、ガルムの背中は見えない。
「何もいないけどな~。ん?あれ?ちょっと待って!」
 ガルムの肩甲骨辺りをオーベがまさぐる。
「うっそ。マジで居たわ」
 オーベの手の中には、真っ黒い毛玉が居た。
 いや、黒だし、小さくて丸まってるから兎には見えないし、しょうがなくね?


 俺の部屋へ行くと、作成した兎小屋へ保護したカラフル兎二羽を入れた。
 本物兎じゃなくて魔獣モンスターだから、ニで良いのか?
 し、匹で良いか。

 野菜畑と化した土部分にそっと二匹を下ろす。
 今気付いたけど、既に野菜が実っている。
 しかも咲樹の縮小魔法のお陰で、5センチのカラフル兎でも食べやすいサイズだ。
 なぜかニンジンもあるけど、はれひめに貰った種に混じっていたのだろう。
「余ってたから、これもあげるら~」とくれた分があったからな。


 ニンジンを水で1本洗って、(赤)の顔の前に差し出す。
 フンフン匂いを嗅いだ後、一口かじって固まった。
 え?何か駄目だった?と焦っていたら、引ったくるようにニンジンを自分で持って食べ始めた。
(黒)にはラディッシュを同じようにあげる。
 まるっきり同じ反応をされた。
 食べ終わった二匹に、インベントリから出したミニトマトを渡す。
 何と、ミニトマトを水場に持って行って、自分で洗ってから食べたよ。

「魔物野菜も食べるかな~?」
 オーベが自分のインベントリから魔物茄子を出す。
 オーベと二人で魔物茄子を見つめる。
「……いや、デカくないか?」
 カラフル兎の何倍だよ。
あるじ、欲しいようだぞ>
 ガルムに言われて小屋へ視線を戻すと、くれ!とでもいうようにカラフル兎がピョンピョン跳ねていた。
 マジか!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

運極ちゃんの珍道中!〜APの意味がわからなかったのでとりあえず運に極振りしました〜

斑鳩 鳰
ファンタジー
今話題のVRMMOゲーム"Another World Online"通称AWO。リアルをとことん追求した設計に、壮大なグラフィック。多種多様なスキルで戦闘方法は無限大。 ひょんなことからAWOの第二陣としてプレイすることになった女子高生天草大空は、チュートリアルの段階で、AP振り分けの意味が分からず困ってしまう。 「この中じゃあ、運が一番大切だよね。」 とりあえず運に極振りした大空は、既に有名人になってしまった双子の弟や幼馴染の誘いを断り、ソロプレーヤーとしてほのぼのAWOの世界を回ることにした。 それからレベルが上がってもAPを運に振り続ける大空のもとに個性の強い仲間ができて... どこか抜けている少女が道端で出会った仲間たちと旅をするほのぼの逆ハーコメディー 一次小説処女作です。ツッコミどころ満載のあまあま設定です。 作者はぐつぐつに煮たお豆腐よりもやわやわなメンタルなのでお手柔らかにお願いします。

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。 ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。 冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。 のんびり書いていきたいと思います。 よければ感想等お願いします。

チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!

しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。 βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。 そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。 そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する! ※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。 ※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください! ※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)

VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する

土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。 異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。 その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。 心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。 ※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。 前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。 主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。 小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。

処理中です...