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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

188:赤と黒

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「はぁ!?」
 俺の「カラフル兎(赤)捕まえた」に対する反応は、咲樹の若干ドスの効いた声だった。
 これ、「あぁん!?」だったら、チンピラが喧嘩売る時の声だぞ、お前。
「どこに居たのですか?」
 レイが俺の手の中を覗き込みながら聞いてくる。ちょっとワクワクしてるのが伝わってきた。
「テーブルの上のミニトマトの皿の横」
 皆の視線がミニトマトへと向く。
 当たり前だが、もうカラフル兎は居ない。

「赤いミニトマトの側にカラフル兎(赤)が居たって事は、ビビットカラーな物の側に居る可能性が高いな」
 ジルドの予想に皆が納得した瞬間、が自室へと駆け出した。
 因みに残ったひとりはオーベだ。
「物が多過ぎて、カラフル兎も避けるだろう」とは、本人の弁。

「それじゃ、この子を小屋に連れて行くか」
 床に手を付かないで立ち上がるのって意外と大変だな。
「それじゃ~ドア開けられないよね~」
 オーベも一緒に立ち上がる。
 ?あれ?
 いつもなら、スッと横につくガルムが伏せ状態のまま動かない。
「ガルム?」
 問い掛けると、困ったような表情をされた。

<背中に、小さなが乗っていて、落としそうで動けんのだ>
 大分広いですけど!?落ちる心配なくない?
 いや、紳士なガルムだからな。弱きものには優しいのか。
「背中~?」
 俺の代わりに、オーベがガルムの背中を確認してくれる。俺の身長じゃ、たとえ伏せをしていても、ガルムの背中は見えない。
「何もいないけどな~。ん?あれ?ちょっと待って!」
 ガルムの肩甲骨辺りをオーベがまさぐる。
「うっそ。マジで居たわ」
 オーベの手の中には、真っ黒い毛玉が居た。
 いや、黒だし、小さくて丸まってるから兎には見えないし、しょうがなくね?


 俺の部屋へ行くと、作成した兎小屋へ保護したカラフル兎二羽を入れた。
 本物兎じゃなくて魔獣モンスターだから、ニで良いのか?
 し、匹で良いか。

 野菜畑と化した土部分にそっと二匹を下ろす。
 今気付いたけど、既に野菜が実っている。
 しかも咲樹の縮小魔法のお陰で、5センチのカラフル兎でも食べやすいサイズだ。
 なぜかニンジンもあるけど、はれひめに貰った種に混じっていたのだろう。
「余ってたから、これもあげるら~」とくれた分があったからな。


 ニンジンを水で1本洗って、(赤)の顔の前に差し出す。
 フンフン匂いを嗅いだ後、一口かじって固まった。
 え?何か駄目だった?と焦っていたら、引ったくるようにニンジンを自分で持って食べ始めた。
(黒)にはラディッシュを同じようにあげる。
 まるっきり同じ反応をされた。
 食べ終わった二匹に、インベントリから出したミニトマトを渡す。
 何と、ミニトマトを水場に持って行って、自分で洗ってから食べたよ。

「魔物野菜も食べるかな~?」
 オーベが自分のインベントリから魔物茄子を出す。
 オーベと二人で魔物茄子を見つめる。
「……いや、デカくないか?」
 カラフル兎の何倍だよ。
あるじ、欲しいようだぞ>
 ガルムに言われて小屋へ視線を戻すと、くれ!とでもいうようにカラフル兎がピョンピョン跳ねていた。
 マジか!


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