ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

179:御狐様と従魔と魅了

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 クランの敷地の中の広場に、立派な芋煮会会場が出来ている。
 俺達【sechs(ゼクス)】の面々と、錬金・鍛冶工房のオッサンと四兄弟。それから綺羅と斗苫斗的ととまとまと。ミロと召喚獣の御狐様。
 御狐様!?
 黒髪おかっぱの女の子が巫女服を着ている。白い耳とフサフサ尻尾は狐だからか。
 ヨミとリルがしきりに匂いを嗅いでいる。
 ちょ、やめなさい。

「リルとヨミは何してるわけ?失礼だから止めなさい」
 御狐様の尻尾をフンフンしてる二匹を捕まえる。そのまま、俺の後ろで寛いでいるガルムの上にぶん投げた。
<これは酷いね、あるじ
<きゅ!>
「酷くない!恥ずかしい事しない!」
<きゅうぅ>
 いじけても駄目だぞ、ヨミ。

<主、許してやってくれ。はおかしな匂いがするようだ>
 ガルムが二匹を庇う発言をする。
「おかしな匂い?」
 思わず御狐様の匂いを嗅ぎそうになったが、寸前で思いとどまる。
 危な!になるところだった。
 27歳男がおかっぱ幼巫女の匂いを嗅ぐとかアウトだ。

「御狐様、回復の他に魅了も使うから、そのせいかな~?」
 ミロが御狐様の尻尾を手に取り匂いを嗅ぐ。
 御狐様に平手打ちを喰らってたけど、そりゃそうだろう。同情の余地は無いな。
「アウトだ」
だ」
「通報しなくちゃ!」
「おまわりさ~ん」
 四兄弟がすかさずツッコミを入れていた。


「終わったかしら?芋煮配るわよ」
 ひとしきり皆が騒いだ後、咲樹が冷静に芋煮を配り始める。
 お腹が空いてるのだろうか?
「皆のんびりしてるけど、そろそろ1回ログアウトし異界へ帰らないと、年越しの時に戻って来られないよ~?」
「最長ログイン滞在時間超えると、ペナルティで丸一日ログインでき異界へ来れなくなるな」
「そろそろ12時間でしたね」
「俺、1番早く来てたんだった!ヤバイ!」
 ユズコが焦った声を出す。
 俺もウィンドウで現実時間リアルタイムを確認する。
 日付け変わってる!大晦日だった!

 この後ログアウトして、寝て、起きてご飯食べたらちょっとだけログインして、夕方から仮眠して、年越しを幻想世界ファンタジーワールドで過ごす。
 よし、完璧な計画。

「俺の分は、マジックボックスへ宜しく!」
 言うが早いか、ユズコがログアウトしていった。
 そこまで切羽詰まってたのか?
 俺はまだ6時間近く大丈夫だが、そこまで居ると睡眠時間的にヤバイだろう。
 でも芋煮を食べる時間はあるから、ゆっくりと味わう。
 トマトリゾットも絶品だな。

「お前達もおかわりいる……」
 おかわりの有無を聞こうと振り返ると、ガルムしか居なかった。他は自分の分を食べ終わったら早々に、おかわりをくれそうな人の所へ移動していたようだ。
 ヨミはジルドの所、リルはレイの所、テラはなぜかオーベの所へ。
 ヨミとリルは解るが、なぜテラはオーベの所へ?

「はい、あ~ん」
<あ~ん>
「里芋美味しいね~」
<美味しいね~>
「次はサベッジバードだよ~」
<わ~い!あ~ん>
「美味しいよね~」
<ね~>

 何か力が抜けるのは、俺だけではないだろう。
 オーベとテラは、とても良いコンビかもしれない。
 俺はガルムへとおかわりを出す。
 食べるのに邪魔にならないように、コッソリと抱きついておいた。


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